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[PPS23-03] 虹の入り江および雨の海北西部における構造発達史
キーワード:リッジ, 構造形成年代, クレーター年代, マスコンテクトニクス
リッジは,多くが海内部に集中して,弧を描くように分布することから溶岩堆積時の荷重で表層が水平短縮した構造だと考えられてきた.しかし近年,1.0 Ga以降に形成されたlobate scarps (Watters et al., 2010)や,溶岩堆積後に形成されたリッジの発見が報告されている(Ono et al., 2008).溶岩堆積時の変形以外の要因として,月の冷却に伴う変形や軌道進化に伴う変形が考えられる.溶岩堆積時の変形であれば,構造形成は溶岩大量噴出時期と一致するはずである.そこで本研究では,リッジが変形させている溶岩と堰き止めている溶岩のクレーター年代を求め,構造形成年代制約を行った.主に使った画像は,SELENEが取得した可視画像,近赤外域画像,地形データである.その結果,本研究地域の主要なリッジ形成は,雨の海の溶岩大量噴出時期である3.0 Gaよりも若いことが分かった.ラプラス岬の南に位置するNNE-SSW走向のリッジ群は,44°以北では2.1 Gaの溶岩を堰き止め,以南では変形させている.従って,このリッジ群は,北部は3.3から2.1 Gaの間に,南部は2.1 Ga 以降に形成されたと考えられる.同様に,ラプラス岬の南のE-W走向のリッジ群は,主に3.0から2.1 Gaの間に形成されたが,2.1 Ga以降に一部地域が成長していることがわかった.また,LROC NAC画像を使って見つかった1.0 Ga以降の小構造も報告する.