日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS23_2PM1] 月の科学と探査

2014年5月2日(金) 14:15 〜 16:15 413 (4F)

コンビーナ:*諸田 智克(名古屋大学大学院環境学研究科)、本田 親寿(会津大学)、西野 真木(名古屋大学太陽地球環境研究所)、長岡 央(早稲田大学先進理工学部)、座長:Nishino Masaki N(Solar-Terrestrial Environment Laboratory, Nagoya University)、石山 謙(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

14:45 〜 15:00

[PPS23-17] 深発月震の地震モーメント分布と月深部構造に関する考察

*山田 竜平1野田 寛大1荒木 博志1 (1.国立天文台 RISE月惑星探査検討室)

キーワード:深発月震, 地震モーメント, 月震活動度, 月マントル, 月Q値, 月深部構造

NASAのApolloミッションで設置された月地震計ネットワーク (Apollo12号, 14号, 15号, 16号) により、月深部700-1200kmの間である特定の震源域から、月地震(深発月震)が繰り返し発生する事が確認された。深発月震は、各震源域で月-地球-太陽の位置関係、すなわち月内部に作用する潮汐力に関与して周期的に発生することが分かっている(e.g., Lammlein, 1977, Bulow et al., 2007)。深発月震の震源位置は現在106個同定されており(Nakamura, 2005)、各々の震源においてその活動度や発生するイベント大きさ、また発生メカニズムが異なる事も示唆されている(Araki, 2001)。 Yamada et al., (2013) では、特にApollo観測時に活発で震源位置が良く決まっている深発月震源15個を選び、Apollo12号で観測されたこれらの震源からの各深発月震イベントの地震モーメントの導出を行った。地震モーメントの導出には、観測された地震イベントの振幅値から、Apollo地震計の特性、波が伝搬した経路の内部構造の特性、幾何減衰の効果、震源域における断層の放射パターンを補正する必要がある(Goins et al., 1981)。この解析で、最新の月内部構造モデルVPREMOON (Garcia et al.,2011)を使用したところ、震源ごとに地震モーメントの分布は異なり、特に遠地の震源程、大きい地震モーメントのイベントを発生し、震源間で最大で1桁程度、モーメントの大きさに差異がある事が分かった。 本研究では、この結果の妥当性を検証するために、同一震源イベントでApollo15号, 16号で観測されたデータからも地震モーメントの評価を行った。この結果、本来同じであるはずの地震モーメントの値が、例え同一イベントであっても各ステーションデータから求められる地震モーメント間で異なる値を示す事が分かった。特に、ネットワークから離れた遠地の震源である程、地震モーメントの差異が大きい傾向があるため、モーメントを導出するのに使用した内部構造モデルに問題がある事が示唆される。特に地震計に到達する地震波の振幅値に対する影響が大きいのは地震波エネルギーの減衰の程度を表すQ値である。これまでの研究では (e.g., Nakamura and Koyama 1982)、特に深部のQ値に不確定性が高い事が示唆されており、VPREMOONでも誤差の大きい値を使用している。そこで、本研究では各ステーションデータから求めた地震モーメントの差異が最も小さくなるようなQ値の導出を試みた。このとき、震源域における放射パターンも不確定性が高く、地震モーメントの値に影響を与えるので、有り得る放射パターンの影響も考慮して、解析を行った。本発表ではこれら解析を通して求まった深発月震の地震モーメント分布と月マントル中の新しいQ値について報告と議論を行う予定である。