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[PPS23-P03] 月レーザ測距用ホロー型新規月面反射板の開発
キーワード:月レーザ測距, 逆反射板, ホロー型, 単結晶シリコン, 変形, 光学性能
月レーザ測距(LLR)は過去40年以上にわたり、月の回転、潮汐、および内部構造を制約する重要なデータを供給し続けている。LLRの測距精度は過去20年間では、地上局におけるレーザ光の発振・受信システム改良やレーザ光の大気遅延モデルの改良が進んだため、2cm以下になっている。しかしながら月の深部構造(流体コアの存否・サイズ・形状、マントルの非弾性など)のさらなる理解のためには、さらにひと桁以上の高精度測距が必要とされている。そこで我々は将来の月面設置を目標に、原理的に測距誤差を発生させない「単一素子ホロー型逆反射板(Corner Cube Mirror; CCM)」の開発研究を進めている。CCMはオプティカルコンタクトで3枚の鏡を接合した3面鏡であり、アポロ11号地点に置かれたLLR用コーナーキューブをしのぐ反射効率を持たせるため、口径20cmを目標にしている。ミラーの材質については、「熱膨張率/熱拡散率」及び剛性率をもとに極低膨張率ガラスセラミック(クリアセラムZ-EX(CCZ-EX); オハラ)か単結晶シリコンを候補とした。さらにCCMのミラー部だけでなくCFRP製ジンバルと組み合わせた熱モデルを作製し、月面の温度環境における熱変形/光学応答シミュレーションを行った。その結果、ミラーの固定方法に敏感ではあるが、(1)ミラーに影が付いて温度差ができやすい日照条件でも光学性能の劣化は十分小さくできること、(2)差はわずかではあるがクリアセラムZ-EXよりも単結晶Siの方が性能面で優れていることがわかった。