16:30 〜 17:30
★ [PPS23-P08] かぐや衛星観測データに基づく雨の海の地下層の年代決定
かぐや衛星に搭載された月レーダーサウンダー(LRS)は、主に月の海のチタン含有量が低い領域で、地下数百mからの電磁波の反射波を観測することに成功した[Ono et al., 2009; Pommerol et al., 2010]。また、かぐや衛星に搭載された分光・地形カメラ(MI・TC)によって、月の表面組成[e.g., Otake et al., 2012]や、月の海の溶岩の噴出年代[e.g., Morota et al., 2011]の詳細が明らかにされている。さらに、かぐやLRS・MI・TCの各観測データを組み合わせることで、クレーターの周辺の地下構造が推定されるとともに[Oshigami et al., 2012]、誘電率の推定によって月表層の地質が隕石衝突によって多くの空隙を含む可能性が示唆された[Ishiyama et al., 2013]。本研究では、雨の海の北部における溶岩流ユニット(ユニット12 と 8 [Bugiolacchi and Guest, 2008])において、LRSで観測された地下層の年代推定を行った。地下層の年代決定は、溶岩の噴出時期・噴出量を明らかにし、月の火山活動の履歴を議論する上で非常に重要である。
LRSデータより、ユニット8の地下には、3つの地下エコーがあることが同定された。この地下エコーからは、地下の溶岩ユニットの間にレゴリス層が存在することが示唆される[e.g., Ono et al., 2009]。最も深い地下エコーは、ユニット12と8の境界と一致しているため、ユニット12の上にユニット8が堆積していることが同定された。先行研究では、ユニット12と8の表面年代は、クレーターカウンティングを用いて、双方とも3.31±0.19 Gaと推定されていた[Bugiolacchi and Guest, 2008]。しかしながら、彼らはTCの空間分解能(10 m/pixel)よりも低い空間分解能のデータ(60〜150 m/pixel)を使用しているため、表面年代推定において誤差を生じていた可能性がある。そこで、本研究ではTCデータを使用して、ユニット12の表面年代を推定したところ、3.58(+0.04/-0.06) Gaと推定された。これはLRSデータから導かれたユニット12と8の層序関係ともよい一致を示している。
また、LRSで明らかにされた地下層の層序と斜長石・鉄・チタンの含有量マップをもとに溶岩流ユニットの再識別を行った結果、ユニット8はさらに複数の異なる溶岩流ユニットに分割されることがわかった。講演では、クレーターカウンティングによる再識別された溶岩流ユニットの表面年代の決定、LRSで同定された地下層との対応検討の結果を示し、これらの溶岩流ユニットがかかわる火山活動の履歴について議論を行う。
LRSデータより、ユニット8の地下には、3つの地下エコーがあることが同定された。この地下エコーからは、地下の溶岩ユニットの間にレゴリス層が存在することが示唆される[e.g., Ono et al., 2009]。最も深い地下エコーは、ユニット12と8の境界と一致しているため、ユニット12の上にユニット8が堆積していることが同定された。先行研究では、ユニット12と8の表面年代は、クレーターカウンティングを用いて、双方とも3.31±0.19 Gaと推定されていた[Bugiolacchi and Guest, 2008]。しかしながら、彼らはTCの空間分解能(10 m/pixel)よりも低い空間分解能のデータ(60〜150 m/pixel)を使用しているため、表面年代推定において誤差を生じていた可能性がある。そこで、本研究ではTCデータを使用して、ユニット12の表面年代を推定したところ、3.58(+0.04/-0.06) Gaと推定された。これはLRSデータから導かれたユニット12と8の層序関係ともよい一致を示している。
また、LRSで明らかにされた地下層の層序と斜長石・鉄・チタンの含有量マップをもとに溶岩流ユニットの再識別を行った結果、ユニット8はさらに複数の異なる溶岩流ユニットに分割されることがわかった。講演では、クレーターカウンティングによる再識別された溶岩流ユニットの表面年代の決定、LRSで同定された地下層との対応検討の結果を示し、これらの溶岩流ユニットがかかわる火山活動の履歴について議論を行う。