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[PPS25-07] NWA 3118 (CV) 隕石 igneous rim中のO-16に富むオリビン
キーワード：コンドリュールリム, コンドリュール, 酸素同位体組成, 炭素質コンドライト, SIMS
隕石中の主要構成物である難揮発性包有物（CAI）およびコンドリュールは，質量に依存しない酸素同位体異常を持つ（Clayton, 1993）．一般にCAIはO-16に富み，コンドリュールはO-16に乏しいと考えられてきた．近年，CR2コンドライト隕石のコンドリュールリムからO-16に富むオリビン粒子の存在が報告され始めており（Takeda et al., 2002; Nagashima et al., 2013），コンドリュール形成場に存在していたコンドリュール前駆物質の酸素同位体の情報を保持している可能性が示唆される．また，コンドリュールリムのO-16に富むオリビンはCR2以外にもどれくらい分布しているのか知られていない．本研究では，岩石学的記載および同位体顕微鏡を用いた酸素同位体イメージングによりCV3コンドライト隕石のコンドリュールリムのO-16に富む物質の分布を明らかにすることを目的とした．試料には，NWA 3118 (CV3)中のコンドリュールを用いた．組織観察および化学組成分析はFE-SEM-EDS (JEOL JSM-7000F; Oxford X-Max 150) を，結晶方位解析にはEBSDシステム（Oxford HKL）を用いた．酸素同位体イメージは同位体顕微鏡 (Cameca ims-1270 + SCAPS) を用いた. 観察したコンドリュールは，直径約1.4ミリメートル のMg-rich（タイプI）porphyriticコンドリュールである．コンドリュールはMgに富むオリビン，low-Ca輝石および長石質なメソスタシスで構成されている．コンドリュールリムは火成作用を経験したと考えられる岩石学的特徴を示し，最大400マイクロメートルの幅を持ち，コンドリュール全体を囲んでいる．コンドリュールリムはFeに富むオリビンが主成分鉱物であり，low-Ca輝石，High-Ca輝石および硫化鉱物が存在する．このFeに富むオリビン粒子はFe-Mgの化学組成ゾーニングが認められ，隕石毋天体上で起こった変成作用によりFe成分が固体拡散によってMgと交換したものと考えられる．酸素同位体イメージングの結果，リム中にO-16に富むオリビン粒子を７個発見した．サイズは，10-30マイクロメートルであった．さらに，O-16に富む領域は粒子全体ではなく，一部分だけであり，O-16に乏しいオリビンに囲まれていることが分かった．また，酸素同位体の不均質分布と化学組成分布は一致していなかった．これらの観察結果は，O-16に富むオリビンを核としてO-16に乏しいオリビンがオーバーグロースしたことを示す．CVコンドライト隕石のコンドリュールリムにもO-16に富むオリビンが存在することから，コンドリュール形成領域にO-16に富む物質およびO-16に乏しい物質の両方が存在していたことが示唆される．