09:30 〜 09:45
[PPS26-03] MELOS1 火星着陸生命探査計画
キーワード:火星, 探査, 着陸, 生命, ローバー
火星探査は理学的価値、工学的価値、そして探査としての価値をほぼ等分にもつ点でユニークであり、人類のフロンティアを拡大してゆく上で重要なマイルストンである。本講演は「来たる10年」のミッションコンセプトとしてのものであるから、理学的価値を中心に工学的価値をも含めて議論する。MELOS1は火星生命の直接検出を目指し、着陸機(ローバー)+クルーズステージという簡潔な構成でチャレンジを行うものである。Curiosityの成功で息を吹き返した米国の火星探査があり、欧露のExoMarsミッションがあり、われわれが目指す2020 年代に外国の周回機が火星を回っていて通信リレーを頼れるとする仮定は、無理なことではない。ローバーは60 kg級で、それに生命探査顕微鏡と環境調査のための気象測器搭載するというのがベースラインである。生命探査顕微鏡については別講演で詳しく述べられるはずであるが、地球の実験室で実施する「最も感度の高い」手法、すなわち細胞を染色し励起光を当てて蛍光を顕微鏡観察する。これにより、バイキング着陸船の実験より3桁高い感度の生命検出実験を行う計画である。地球外生命をもし見つけることができたら、それは科学史上最大の発見となり得るだろう。広大で変化に富む火星地表、これまで7 回の着陸は類似した環境の地点であり、得られた火星生命可能性に関する知見はごく限定的といえる。流水地形やメタン放出の疑われる泥火山地形など、生命発見に最も高効率と考えられる場所は、前人未踏の探査対象であり、高精度着陸、新型生命検出装置を備え、こうした場所に降り立っての生命探査を世界に先駆けて行う。本講演では検討の進捗状況を報告するとともに、日本の将来計画の中における火星着陸探査の位置づけなど、広い視野をもった議論を行いたい。