日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS26_30AM1] 来たる10年の月惑星探査に向けた構想と戦略

2014年4月30日(水) 09:00 〜 10:45 418 (4F)

コンビーナ:*出村 裕英(公立大学法人会津大学)、並木 則行(千葉工業大学 惑星探査研究センター)、小林 直樹(独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部固体惑星科学研究系)、大槻 圭史(神戸大学大学院理学研究科)、渡邊 誠一郎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻)、三好 由純(名古屋大学太陽地球環境研究所)、座長:小林 直樹(独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所太陽系科学研究系)、出村 裕英(公立大学法人会津大学)

10:30 〜 10:45

[PPS26-P01_PG] 月惑星熱流量の精密測定に向けての測定プローブの開発と評価

ポスター講演3分口頭発表枠

*堀川 大和1田中 智2坂谷 尚哉1滝田 隼3 (1.総合研究大学院大学、2.宇宙航空研究開発機構、3.東京大学)

キーワード:熱流量, 熱伝導率, 月, 惑星, ペネトレータ, ニードルプローブ

月惑星熱流量を精密に測定することは固体天体のバルク組成や熱史を議論する上で重要である。熱流量をその場で観測するために、1~数mの深さに埋設可能な高速貫入プローブ(ペネトレータ)が開発された。しかし、耐衝撃性や軽量化を重視した結果、熱流量計がペネトレータ構体表面上に搭載されているため、熱流量測定値はペネトレータとレゴリスの熱伝導率の違いによるプローブ周囲の温度擾乱に影響されやすく不確定性を持つ。
本研究では、温度擾乱の影響が少ない位置で熱流量を10%以内の精度で観測可能なニードルプローブの伸展機構を開発することを提案する。温度擾乱を避けるために、測温点はペネトレータ本体からできるだけ遠い位置に設置する必要がある。ニードルプローブの先端部分で紛体の熱伝導率を推定する理論解はすでに得られているが、実際にニードルプローブの先端部分でレゴリスの熱伝導率を測定する研究はまだなされていない。我々は試作プローブを開発し、真空下でレゴリス模擬物質としてのガラスビーズの熱伝導率測定精度を評価した。
試作プローブはステンレス管にヒーター線とK型熱電対を挿入してエポキシ樹脂で固定したセンサーである。試作プローブの全長はペネトレータ本体への搭載性を考慮して10cmとした。ガラスビーズの熱伝導率は月地下1~数mの熱伝導率と同じ約0.02W/m/Kとなるように、圧力を200Pa付近でコントロールした。ガラスビーズを入れた容器の中央にニードルプローブを設置し、その周囲に比較測定のための線加熱法による3本のセンサーを配置した。
試作プローブによって理論解に基づいて得られた熱伝導率は0.0165W/m/Kで、線加熱法による熱伝導率の平均値は0.0207W/m/Kであった。プローブによる熱伝導率測定精度は約31%となった。しかし、理論解の仮定条件は、例えばプローブの直径やプローブとサンプル間の接触熱抵抗、プローブ軸方向の熱リーク等の点で、実際のプローブの特性とは異なるため、プローブによる熱伝導率は理論解から直接推定することができない。そこで我々は実際のプローブの特性を取り入れた数値モデルで伝熱解析を行い、得られた温度プロファイルから試作プローブによる熱伝導率を推定した。理論解の条件を取り入れた伝熱解析による温度プロファイルと理論解による温度プロファイルとの整合性は確認している。
伝熱解析の結果、プローブによる熱伝導率は0.0212W/m/K、熱伝導率測定精度は約3%となり、要求精度の約5%以内を満たした。将来、我々の伸展プローブを使用して、月惑星表層レゴリスのその場熱伝導率観測を行うために、事前に伝熱解析を用いて適切な熱伝導率に対してプローブによる測定精度を求めておく必要がある。