16:15 〜 17:30
[SCG61-P10] 沸石と母岩の関係性 小笠原諸島父島・伊豆半島を例として
キーワード:沸石, 母岩, 小笠原諸島父島, デイサイト
天然の沸石は主に地殻浅所で火成岩、堆積岩、変成岩といった多様な岩石中に存在する。本研究においては、伊豆・小笠原地域から採取した母岩及び沸石類の化学組成分析を行いそれらの関係性を示す。
先行研究においては、晶洞中や気孔中、脈中で産出される肉眼やルーペで識別できる大きさの沸石と母岩との間に、成因的関係はほとんど認められないと報告されている。(歌田 1995)本研究では、沸石の母岩異なる小笠原諸島父島及び、伊豆半島からの岩石について沸石類と母岩の化学組成との関係性を検証する。
2.調査地域
東京都小笠原諸島父島では宮之浜、釣浜駐車場、釣浜、長崎、初寝浦北側、初寝浦南側、洲崎北側、洲崎南側、ブタ海岸、金石浜の10ヶ所、静岡県伊豆半島ではやんだ、大洞林道の2ヶ所の調査を行った。
3.方法
母岩は粉末にして加圧整形ディスクとした。分析には蛍光X線装置RIX-3000(Rh管球,50kV50mA)を使用し、産総研(地質調査所)の岩石標準試料15種類から作成した検量線をもとに、計算を行った。
沸石を含む母岩中の鉱物の同定に関しては、肉眼及び顕微鏡観察を行った。また、肉眼では同定困難なものについては、X線回折により同定した。分析には2種の装置を使用し、Bruker AXS, D2 phaser(管球,30kV,10mA)、Bruker AXS,Smart Breeze(管球,50kV,30mA) (単結晶構造解析)を使用した。Smart Breezeに関しては分析試料をおよそ1mm大に調整し測定した。
4.結果・考察
各地点で産出した沸石類の同定結果と、母岩の全岩化学組成分析結果を比較、検討した。
今回、同定された沸石の種類は、輝沸石、方沸石、モルデン沸石、菱沸石、エリオン沸石、湯河原沸石、束沸石、灰十字沸石の8種類であった。
父島において束沸石は宮之浜、初寝浦北側、初寝浦南側、洲崎、ブタ海岸、金石浜で確認することができた。これらの地点と束沸石が産出しなかった地点での母岩のSiO2/Al2O3比を比較すると、産出しなかった地点では4.230~4.768と5以下であるのに対し、産出した地点では5.248~7.672と5以上であり違いが見られた。沸石の構造を決定するためにはS/Alの比が重要な要素となる。沸石を主に構成する元素であるSiおよびAlの母岩中の比率を用い、熱水により岩石から溶脱した成分が岩石中の脈や気孔で結晶化することにより生成される沸石類の沸石と母岩の関係性を示すことができた。
先行研究においては、晶洞中や気孔中、脈中で産出される肉眼やルーペで識別できる大きさの沸石と母岩との間に、成因的関係はほとんど認められないと報告されている。(歌田 1995)本研究では、沸石の母岩異なる小笠原諸島父島及び、伊豆半島からの岩石について沸石類と母岩の化学組成との関係性を検証する。
2.調査地域
東京都小笠原諸島父島では宮之浜、釣浜駐車場、釣浜、長崎、初寝浦北側、初寝浦南側、洲崎北側、洲崎南側、ブタ海岸、金石浜の10ヶ所、静岡県伊豆半島ではやんだ、大洞林道の2ヶ所の調査を行った。
3.方法
母岩は粉末にして加圧整形ディスクとした。分析には蛍光X線装置RIX-3000(Rh管球,50kV50mA)を使用し、産総研(地質調査所)の岩石標準試料15種類から作成した検量線をもとに、計算を行った。
沸石を含む母岩中の鉱物の同定に関しては、肉眼及び顕微鏡観察を行った。また、肉眼では同定困難なものについては、X線回折により同定した。分析には2種の装置を使用し、Bruker AXS, D2 phaser(管球,30kV,10mA)、Bruker AXS,Smart Breeze(管球,50kV,30mA) (単結晶構造解析)を使用した。Smart Breezeに関しては分析試料をおよそ1mm大に調整し測定した。
4.結果・考察
各地点で産出した沸石類の同定結果と、母岩の全岩化学組成分析結果を比較、検討した。
今回、同定された沸石の種類は、輝沸石、方沸石、モルデン沸石、菱沸石、エリオン沸石、湯河原沸石、束沸石、灰十字沸石の8種類であった。
父島において束沸石は宮之浜、初寝浦北側、初寝浦南側、洲崎、ブタ海岸、金石浜で確認することができた。これらの地点と束沸石が産出しなかった地点での母岩のSiO2/Al2O3比を比較すると、産出しなかった地点では4.230~4.768と5以下であるのに対し、産出した地点では5.248~7.672と5以上であり違いが見られた。沸石の構造を決定するためにはS/Alの比が重要な要素となる。沸石を主に構成する元素であるSiおよびAlの母岩中の比率を用い、熱水により岩石から溶脱した成分が岩石中の脈や気孔で結晶化することにより生成される沸石類の沸石と母岩の関係性を示すことができた。