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[SCG61-P17] アナログ実験における柱状節理の形態形成の濃度分布依存性について
キーワード:柱状節理, アナログ実験, 割れ目形成, マイクロフォーカスX線CT, 濃度分布
火成岩や溶結凝灰岩などに見られる柱状節理の形態には多様性がある。柱状の構造の形態を特徴づける要素の一つとして、「柱が直線的か曲線的か」という点が挙げられる。柱状節理は岩体の冷却固結に伴い体積収縮により岩体内部に蓄積された応力が解放されるとき、岩体の温度勾配に従って割れ目が段階的に形成されると考えられているが、「曲がった構造」の形成過程を説明する基礎的な研究は行われていない。そこで本研究ではデンプンと水の混合物を乾燥させて天然の柱状節理の構造を再現するアナログ実験を行い、「曲がった構造」の形成過程を観察し、考察することを目的とする。実験では、円筒の容器に混合物を投入し、混合物表面上に白熱ランプを点灯する。混合物表面とランプの間の距離を1.5cmに設定し混合物を乾燥させ、混合物が完全に乾燥する前の状態をX線CT解析装置で撮影することで乾燥途中、すなわち節理形成の最中の水の空間分布を観察した。その結果、混合物表面から同じ深さにおいて、ランプ直下からの水平距離が長くなるに伴い、混合物中の水の濃度が大きくなることが分かった。また混合物表面から内部に向かって発達した割れ目の進行方向は、水の等濃度面に対してほぼ垂直になっていることが分かった。混合物表面が受けるランプの熱の影響がランプからの距離に応じて異なることが確かめられ、混合物の乾燥速度に場所による違いが生じ、混合物内にできた水の濃度分布に不均一ができたと考えられる。形成された割れ目は混合物中の水の濃度分布の時間変化に伴い、その伸展方向が変化することが予想されるが、発表では混合物中の水の濃度分布の時間変化と割れ目形成の関係性についても報告を行う。