日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG62_2PO1] 流体と沈み込み帯のダイナミクス

2014年5月2日(金) 16:15 〜 17:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*岡本 敦(東北大学大学院環境科学研究科)、川本 竜彦(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、片山 郁夫(広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻)

16:15 〜 17:30

[SCG62-P02] ラマン・赤外分光計測による石英表面の水の構造化の検出とその分子動力学的評価

*石川 慧1佐久間 博2土屋 範芳1 (1.東北大学大学院環境科学研究科、2.独立行政法人 物質・材料研究機構)

キーワード:ラマン分光, 赤外分光, 界面水, 亜臨界, 石英, 分子動力学

地殻中では含水鉱物や流体包有物中の水、間隙中の水など、様々な形で水が存在しており、プレートの沈み込み帯も、海洋由来の水やマントル由来の水などが存在する環境である。沈み込み帯における地震発生帯の温度は150~350℃程度であり、水は亜臨界-超臨界で存在する熱水である。また、この領域の水は鉱物粒界に非常に薄い薄膜状の形で存在しており、この薄膜水はバルクの水(自由水)とは違った性質を持つことが知られている。
本研究では、高温高圧の薄膜水が観察可能なダイヤモンドセルと顕微ラマン-赤外分光計を用いて、様々な温度圧力における金属反射板上および石英基板上の水を観察した。
ラマンスペクトルおよび赤外吸収スペクトルの観察結果より、3400cm-1付近に現れる水のOH伸縮振動ピークが温度圧力によって変化することが観察された。このピークは高温では水素結合の影響は弱まり3700cm-1付近にシフトするが、石英基板上の水について、高温であっても水素結合の影響を強く受けた3200cm-1付近の振動の存在が確認された。
また本研究では、分子動力学プログラムMXDORTOを用いて実験を模擬した条件でシミュレーションを行い、石英基板上の水の構造化を再現した。シミュレーションでは、石英表面近傍の数ナノメートルの範囲において、通常の水には見られない水の密度の分布が見られた。
以上のような分光観察、分子シミュレーションを用いて得られた石英表面の水分子の構造および性質の変化を、水分子と石英表面のシラノール基(Si-OH)の水素結合に着目して考察する。