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[SCG64-06] DONET内で同時期に観測された地震活動変化と圧力変動
キーワード:地震活動, 海底圧力計, DONET, ETASモデル
海洋研究開発機構は,南海トラフで発生する地震・津波を常時監視することを目的として,熊野灘海域に地震・津波観測監視システム(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis: DONET)を展開している. DONETの各観測点には,広帯域地震計・強震計・ハイドロフォン・微差圧計・水晶水圧計・温度計が設置され,海底ケーブルに接続されているためにデータがリアルタイムで常時陸上に伝送されてきている.陸から離れた海域に地震計が設置されているため,陸上観測点のみでは捉えることのできない微小地震を検知することが可能であり,微小地震を含めた詳細な地震活動およびその変化を捉えることができる.同様に,水圧計が常時海底に設置されているため,連続的に水圧変化を監視し,ローカルな地殻変動を捉えることが可能である.上述された地震・測地学的情報は,地震発生のメカニズムを考える上で基礎的かつ重要な情報となる. 現在,海洋研究開発機構では,気象庁一元化カタログとは独自にDONETの広帯域地震計記録から地震の検知をおこなっているため,気象庁一元化カタログには載っていない微小地震も検知することができる.鈴木・他(2013)は、2011年01月から2013年9月までの地震活動に対してETASモデル(Ogata, 1989)を適用し,2013年2月以降はモデルから予測されるよりも地震活動が低下していることを示した.また,同時期の圧力計の記録に注目すると一部の近接した観測点(KMB05, KMB06, KMB07)においてトレンドからのずれ(圧力変動)が観測された. 本研究では,鈴木・他(2013)が用いたデータに2014年1月までのデータを追加し,同様の解析をおこなった.その結果,2013年2月以降の地震活動は依然としてモデルから予測されるよりも低調である.一方, 3点の圧力計で観測された変動は2013年9月以降も続いており,鈴木・他(2013)では変動が確認されなかった3観測点に近接したKMB08においても新たに変動が観測された.同時期に地震活動と圧力計に変動がみられたことから両者の間になんらかの関係性が存在することが期待される.地震活動変化と圧力変動を引き続き監視するとともに圧力変動を説明可能な断層運動を推定し,地震活動に与える影響を評価することが今後の課題である.