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[SCG65-06] 発電所敷地内破砕帯の評価と応力解析
キーワード:発電所, 敷地内破砕帯, 応力逆解析, 活動ステージ
原子力規制委員会の「大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」は,平成25年12月に開催されたピアレビュー会合において,敷地内破砕帯のうち F-6破砕帯は「将来活動する可能性のある断層等」ではないとする結論を得た.この審議の過程では地質データに対する応力逆解析が使われた.そこで,応力逆解析がどのように「将来活動する可能性のある断層等」の判断に使われたかを本講演では紹介する.既設の発電所敷地内における破砕帯調査の問題として,断層の多くに上載層がなく,また変動地形が明瞭でないなど,通常の活断層評価で使われる変動地形学による評価手法を適用できないという点があげられる.また原子力施設の安全審査においては,活断層か否かが重要で,活動度評価は必ずしも必要ない.断層面上に残された条線データを用いた断層の運動方向とそれに基づく応力解析は,研究途上の側面はあるものの,現象が比較的はっきりしているため,上載層がない場所における断層評価に対して他の手法に比べ使いやすい.応力解析に基づいて活断層かどうかを判断するための考え方としては,スリップテンデンシー (Morris, et al., 1996) のように断層の構造と現在の応力を比較するという考え方と,応力逆解析を活動ステージ分けに利用するという考え方がある.2011年東北地方太平洋沖地震後の日本列島について数多くの議論があるよう,前者の考え方には疑問がある.そこで大飯発電所敷地内破砕帯の調査においては,後者の考え方に従った.活動ステージは同じような応力によって断層が繰り返し動いている期間と考えられる.そこで異なる場所でも,断層に見られる構造が同じ応力に支配されていると判断できれば,同じ活動ステージの構造と判断した.大飯発電所では,この結果をトレンチ調査の結果と比較することで,将来活動する可能性のある断層等」の判断を行った.