18:15 〜 19:30
[SCG66-P04] なぜ箱根山は異形で、房総沖三重会合点で海溝軸が最も西寄りなのか~フィリピン海プレートは(やはり)関東平野の奥深くに~
(図面を参照のこと)
プレート(以下P)収束帯の温度構造が陸地を形成するがその先頭は火山である(2)。上昇するマグマの上で垂れるスラブ(以下S)は存在できない。マグマはSを地表まで支え上げ突き破る。その際上側のPは共存できず切開され脇へ押し遣られる。富士山はフィリピン海(以下PHS)Pの北端を貫き、陸側Pの切開の先端点で、駿河・相模トラフの起点をなす。(以上(1))一方箱根山・三原山は相模トラフの位置決めをしていると考える。
"東海S"は富士山の北側まで、に対し"相模S"は関東の奥深くまで沈み込んでいるように見える(3)。一枚の板として不自然である。GPSが捉えた地殻変動は伊豆半島が西進、に対し伊豆諸島や関東南部は北進成分が大きい(4)。東経135~140度では、特に140度の断面は太平洋側を北上させる(南北圧縮)力が発生する温度構造の条件を満たすことが分かった。つまりPHSPは"相模S"側だけが過去に大きく沈み込んで現在の状況になったと考える。
では境界となる亀裂(横ずれ断層)はどこか。箱根山の北側にSの沈み込みを象徴する地震の多発帯がある(5)。その分布状況は、西側の縁をなぞれば緩やかなラインで箱根山・三原山を結ぶことができる(図面赤破線)。多発帯を東西に二分する南北方向の空白ラインは箱根山を通る(図面青破線)。赤破線で滑っていた時期もあったが三原山以南で断層が得られず青破線に移行したと考える。箱根山・伊豆半島東方沖・伊豆諸島の並びはマグマを足掛かりとして亀裂が南方まで伸び易い。"相模S"の西端は青破線までと考える。
箱根山は伊豆諸島以東のPHSPの西端で沈み込みの起点の意味を持つ。山体の地下数KMでは、長年東半分でPが活発に北進、そして沈み込む。つまり南方から物質が押し寄せ、北方へ物質が吸出される作用が働く。箱根山の外輪山やその内外の地形について西半分は平凡な反面、東半分は個性的である。南部はふっくらと盛り上がりX字状の溝は圧縮力による断層と思われ、北部は引き摺り出された跡の様な巨大な溝が北方へ延びる(10)。
一方、房総沖三重会合点で海溝軸が最も西寄りなのはなぜか。西進する太平洋Pはその上に載る陸側PとPHSPを東西方向に圧縮するが南北は伸張作用となる。陸側PとPHSPの重なり部は、ずれて重なりが浅くなり、太平洋Pに対する上盤は南北に伸びる。その分東西圧縮による海溝軸の西進は容易になる。陸側PとPHSPそして太平洋Pは東西に窮屈となり褶曲やつぶれが発生する。それでさらに海溝軸が西進し易くなる。普段のストレスは褶曲やつぶれに吸収され巨大地震が発生しても海溝軸は東へ戻りにくい。これが「海溝軸西寄り」の原因である。安定した宮城沖の海溝軸に対し、福島・茨城沖のそれが西へなびいている(6)根本の理由がこれで示された。
参考文献
(1)間瀬博文(2009)/プレート内の自壊から始まる南海地震が関係する地域のシステム~沈降できないプレートと単独活動できない東海地震~/地震学会2009年/P3-64
(2)間瀬博文(2012)/島孤と海盆を形成し維持する力~なぜ西日本は海盆でないのか~/地球惑星科学連合2012年/SCG67-P06
(3)遠田晋次(2005)/関東直下の新しいプレート構造の提案/図1/従来のモデル(Noguchi1999)/産総研活断層研究センター/研究成果2005年06月10日
(4)国土地理院/地殻変動アニメーション1996年4月~1999年12月鳥瞰図
(5)気象庁/地震・火山月報(防災編)/平成13年12月/東海・南関東地域の地震活動/図5
(6)間瀬博文(2013)/東北地方太平洋沖地震が茨城県沖の海溝海側斜面でやったこと~海溝軸、瞬間転移か~/地震学会2013年/P2-45
(10)ウィキペディア(Wikipedia)箱根山/箱根山の地形図
プレート(以下P)収束帯の温度構造が陸地を形成するがその先頭は火山である(2)。上昇するマグマの上で垂れるスラブ(以下S)は存在できない。マグマはSを地表まで支え上げ突き破る。その際上側のPは共存できず切開され脇へ押し遣られる。富士山はフィリピン海(以下PHS)Pの北端を貫き、陸側Pの切開の先端点で、駿河・相模トラフの起点をなす。(以上(1))一方箱根山・三原山は相模トラフの位置決めをしていると考える。
"東海S"は富士山の北側まで、に対し"相模S"は関東の奥深くまで沈み込んでいるように見える(3)。一枚の板として不自然である。GPSが捉えた地殻変動は伊豆半島が西進、に対し伊豆諸島や関東南部は北進成分が大きい(4)。東経135~140度では、特に140度の断面は太平洋側を北上させる(南北圧縮)力が発生する温度構造の条件を満たすことが分かった。つまりPHSPは"相模S"側だけが過去に大きく沈み込んで現在の状況になったと考える。
では境界となる亀裂(横ずれ断層)はどこか。箱根山の北側にSの沈み込みを象徴する地震の多発帯がある(5)。その分布状況は、西側の縁をなぞれば緩やかなラインで箱根山・三原山を結ぶことができる(図面赤破線)。多発帯を東西に二分する南北方向の空白ラインは箱根山を通る(図面青破線)。赤破線で滑っていた時期もあったが三原山以南で断層が得られず青破線に移行したと考える。箱根山・伊豆半島東方沖・伊豆諸島の並びはマグマを足掛かりとして亀裂が南方まで伸び易い。"相模S"の西端は青破線までと考える。
箱根山は伊豆諸島以東のPHSPの西端で沈み込みの起点の意味を持つ。山体の地下数KMでは、長年東半分でPが活発に北進、そして沈み込む。つまり南方から物質が押し寄せ、北方へ物質が吸出される作用が働く。箱根山の外輪山やその内外の地形について西半分は平凡な反面、東半分は個性的である。南部はふっくらと盛り上がりX字状の溝は圧縮力による断層と思われ、北部は引き摺り出された跡の様な巨大な溝が北方へ延びる(10)。
一方、房総沖三重会合点で海溝軸が最も西寄りなのはなぜか。西進する太平洋Pはその上に載る陸側PとPHSPを東西方向に圧縮するが南北は伸張作用となる。陸側PとPHSPの重なり部は、ずれて重なりが浅くなり、太平洋Pに対する上盤は南北に伸びる。その分東西圧縮による海溝軸の西進は容易になる。陸側PとPHSPそして太平洋Pは東西に窮屈となり褶曲やつぶれが発生する。それでさらに海溝軸が西進し易くなる。普段のストレスは褶曲やつぶれに吸収され巨大地震が発生しても海溝軸は東へ戻りにくい。これが「海溝軸西寄り」の原因である。安定した宮城沖の海溝軸に対し、福島・茨城沖のそれが西へなびいている(6)根本の理由がこれで示された。
参考文献
(1)間瀬博文(2009)/プレート内の自壊から始まる南海地震が関係する地域のシステム~沈降できないプレートと単独活動できない東海地震~/地震学会2009年/P3-64
(2)間瀬博文(2012)/島孤と海盆を形成し維持する力~なぜ西日本は海盆でないのか~/地球惑星科学連合2012年/SCG67-P06
(3)遠田晋次(2005)/関東直下の新しいプレート構造の提案/図1/従来のモデル(Noguchi1999)/産総研活断層研究センター/研究成果2005年06月10日
(4)国土地理院/地殻変動アニメーション1996年4月~1999年12月鳥瞰図
(5)気象庁/地震・火山月報(防災編)/平成13年12月/東海・南関東地域の地震活動/図5
(6)間瀬博文(2013)/東北地方太平洋沖地震が茨城県沖の海溝海側斜面でやったこと~海溝軸、瞬間転移か~/地震学会2013年/P2-45
(10)ウィキペディア(Wikipedia)箱根山/箱根山の地形図