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[SCG67-01] 海水の増加によって海洋底は拡大した
キーワード:海洋底の年代推定, 海水面の上昇, 海水の増加, 海洋底の拡大
はじめに本論は、プレートテクトニクスの基礎にある、海洋底拡大説の根拠を、明らかとなった事実と推論とによって否定することを目的とする。既に、S.Mado, 2013[3]において、海洋底拡大説の論拠の一つとなっている海嶺を挟む地磁気異常の縞模様が、従来言われているような地球磁場の周期的反転を記録したものではなく、全く異なる別のメカニズムで形成されたものであることは述べた。従って、海洋底拡大説の論拠の一つは否定されているが、本論では、もう一つの根拠である海洋底岩盤の拡大そのものを否定する。問題の所在プレートテクトニクスはウェゲナーの大陸移動説を端緒にしながら、その後の議論によって進化を遂げ、海洋底拡大説をもとにして概ね現在の理論に落ち着いた。しかし、その海洋底拡大説が、海洋底の岩盤自体の拡大を意味する限り、誤りであることが判明した。それは、海洋底が拡大したのは、海洋底の岩盤が拡大したからではなく、海水が増大したために過ぎないことが分かったからである。その結果、プレートテクトニクスの根拠の一つが失われた。海洋底拡大説プレートテクトニクスは、海洋底拡大説をもとにして整えられた。プレートの運動速度は、地磁気異常の縞模様のパターンから、海嶺での拡大速度を読み取ることによって求められた。海洋底の玄武岩やその上の微化石の年代が、中央海嶺から離れるにつれて古くなっているほか、地磁気異常の縞模様から推定される海洋底の年代とよく一致し、大西洋では海洋底拡大が年間2㎝の速度で進んだことが実証されたとされた。[1], [2]海面上昇と海水の増大海洋底拡大説が見逃していた重大な事実に、海面上昇の事実がある。海底の詳細な地形のデータによって、海底の岩盤が形成された時から今までに、少なくとも6000mを超える海面上昇があったことが分かる。海底には多数の太古の河の跡が残されており、その水深は6000m以上にも達する。例えば、釧路川の延長は水深6000m以上の日本海溝付近の海底にも認められるし[Fig1-B]、糸魚川の延長は水深3500mの日本海の最深部にも認められるのである[Fig1-A]。つまり、海洋の海水の大半は海洋の岩盤が形成された後に生成されたものであり、海底の岩盤が形成された後に海水が大きく増大した結果、海面が大きく上昇して現在の海面に達した。海水の増大の原因として考えられるのは、地殻変動である。地殻変動によって、地殻を構成する岩石から水が絞り出されたものと考えられる。そして、おそらく、その海水の増大は、現在も続いている。その結果、大変ゆっくりとではあるが、海面が徐々に上昇し続けているのである。この事実は、海洋底拡大説では、全く考慮されていない。つまり、海水が増大するにつれて、海面が上昇し、それとともに海底も拡大したのである。海底の岩盤が拡大したのではなく、海水が増大することによって海底が拡大したのである。海嶺の付近で年代が新しくなるのは、そこが高くなっているため、水面下に没したのが新しいからである。結論海洋底拡大説は、海洋底の岩盤自体が長い時間をかけて広がったと主張しているが、海洋底の岩盤の年代と海洋底の年代の間には関係が無い。それは、海洋底の拡大が、実は、海水の増加に起因していたからである。海水が増加して、海水面が上昇するにつれ、海底が拡大した。だから、プレートテクトニクスの重要な証拠の一つが根拠のないものであることが明らかになったのである。参考文献[1] Maxwell, A. & Von Herzen, R. et al. 'Deep Sea Drilling in the South Atlantic', SCIENCE, Volume 168, pp.1047-1059, 29 May 1970.[2] Dietz, R. 'Continent and Ocean Basin Evolution by Spreading of of the Sea Floor', NATURE, Volume 190, pp.854-857, June 3, 1861.[3] Shinichiro Mado, 'It was not switching global geo-magnetic fields that created the alternating anomalies over oceanic ridges', ABSTRACT of Japan Geoscience Union Meeting, SEM36-P01, 2013.