16:15 〜 17:30
[SCG67-P02] 陸域および海域の地殻変動速度を用いた南海トラフ沿いのすべり欠損速度のインヴァージョン解析
キーワード:GPS/音響, 南海トラフ, 地殻変動, すべり欠損速度, すべりの解像度
南海トラフでは、プレート境界型巨大地震が100-150年の繰り返し周期を持って発生していることがよく知られている。最近では、GEONET等により、精密かつ詳細な地殻変動が捉えられるようになったが、依然として海域で起こる地殻変動に関しては、それらの検知能力やすべりの解像度は低いままである。このような背景のもと、2000年頃より実用化に向けて開発が進められてきた、GPSと音響測距技術を組み合わせた海底地殻変動観測が、現在では、海域で起こる地殻変動の推定に対して、有効かつ必要不可欠なツールとして認識されるようになる。
本研究では、2004年から2012年に行われた海底地殻変動観測結果を示すとともに、それらの地殻変動速度と陸域のGEONETの地殻変動速度を用いて、先験情報付きのインヴァージョン解析より、南海トラフ沿いのすべり欠損速度の推定を行った。この結果、四国沖合では、50 mm/yrを超えるすべり欠損速度の大きい領域が存在し、これらは、紀伊半島沖合で、およそ30-50 mm/yrに減少することが示された。さらに、伊勢湾以東から駿河湾にかけての領域では、およそ10-30 mm/yrになることが明らかとなった。ただし、駿河湾内部にすべり欠損速度が ~40 mm/yrとなる領域も存在した。続いて、南海トラフ沿いの海底観測点が将来的に増設されることが明らかであるので、それらの位置情報を用いて、すべりの解像度について調べた。海域観測点の増加に伴い、全体的に海域のすべりの解像度が向上することが示された。しかし、それでも、足摺岬沖合、室戸岬沖合、紀伊半島沖合の海溝付近の解像度は依然として低いままで、地震間の歪蓄積状況のさらなる把握には海溝付近の観測が必要であると言える。
本研究では、2004年から2012年に行われた海底地殻変動観測結果を示すとともに、それらの地殻変動速度と陸域のGEONETの地殻変動速度を用いて、先験情報付きのインヴァージョン解析より、南海トラフ沿いのすべり欠損速度の推定を行った。この結果、四国沖合では、50 mm/yrを超えるすべり欠損速度の大きい領域が存在し、これらは、紀伊半島沖合で、およそ30-50 mm/yrに減少することが示された。さらに、伊勢湾以東から駿河湾にかけての領域では、およそ10-30 mm/yrになることが明らかとなった。ただし、駿河湾内部にすべり欠損速度が ~40 mm/yrとなる領域も存在した。続いて、南海トラフ沿いの海底観測点が将来的に増設されることが明らかであるので、それらの位置情報を用いて、すべりの解像度について調べた。海域観測点の増加に伴い、全体的に海域のすべりの解像度が向上することが示された。しかし、それでも、足摺岬沖合、室戸岬沖合、紀伊半島沖合の海溝付近の解像度は依然として低いままで、地震間の歪蓄積状況のさらなる把握には海溝付近の観測が必要であると言える。