12:00 〜 12:15
[SCG67-P06_PG] DONETデータを用いた海洋重力波の3年にわたる観測
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:海洋重力波, 南海トラフ, DONET
海洋重力波(IG波)は、数分の周期と10数kmの波長を持つ長周期の波である。本研究では、南海トラフに設置されているDONETのデータのうち、広帯域地震計上下動記録と圧力計記録を用いて、IG波の検出を試みた。アレー解析の一つであるスラントスタックの手法用いて1日ごとの卓越するIG波を検出し、3年間の変化を見た。IG波のシグナルは海底変動と圧力変動が非常に良く一致しており、伝播速度は観測点の設置している海底の深さ2000mで予測される理論速度に一致している。シグナルの強さは方位によって大きく異なる。台風のような嵐のような天候の日を除くと、IG波は東南方向から伝播してくる波、つまり、南海トラフの東南側の深い海を伝播し、トラフを横切る波が最も卓越する。最大振幅をもつIG波の到来方向は日によって南南東と東南東に別れる。南南東の到来方向を持つ波は東南東から伝播してくる波に比べ、より深い海を伝播するため長周期成分が卓越している。IG波の振幅は季節変化を示し、冬に高く夏に低い値をとる。台風の影響を見ると、台風の進路方向から入って来る波と、その波が海岸線で反射し海岸線と南海トラフを通る北東?東北東方向から来る波が生じているのが分かる。このような場合、北東?東北東方向からくる波の方が強い振幅を示すことが多く見られた。