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[SCG67-P11] 反射法地震探査による伊豆小笠原島弧前弧域の形成初期構造イメージング
キーワード:反射法地震探査, 伊豆小笠原前弧, 島弧初期構造
島弧進化を理解する上で地殻改変過程を知ることは重要である.その地殻改変を理解するためには初期の島弧地殻の状態を明らかにする必要がある.伊豆小笠原島弧は島弧進化過程を知る最も適した場所であるとされ数多くの岩石学的・地球物理学的研究が行われてきた.これまでの岩石学的研究により伊豆小笠原島弧の最も海溝に近い場所に形成初期の岩石が分布していると言われており,海洋底掘削によりgabbloからforearc basalt, boniniteに至る地質情報を得ることで,伊豆小笠原島弧における地殻改変過程を知ることが可能になる.そこで本研究ではこの掘削を実現するためにこれまで潜航調査でboniniteやforearc basaltが得られている地点周辺で地震探査を行い,島弧の初期構造における3次元的な速度構造と浅部反射構造を得ることが目的である.海洋研究開発機構では深海調査研究船「かいれい」を用いた2011年1月~3月のKR11-01およびKR11-05航海において反射法地震探査を実施し,南北方向の基盤の凹凸や薄い堆積層が確認できた.しかし東北地方太平洋沖地震で中断となったため,2014年に予定されている掘削に向けた掘削点の審査に必要な東西測線の取得ができなかった.そのため,2013年4月のKR13-07航海においてIBr11およびIBr11nの2つの東西測線を設定し,データ取得を行った.IBr11測線は四国海盆から西之島トラフ,金曜海山,小笠原トラフ,聟島北方の小笠原海嶺を横断する測線である.IBr11n測線はIBr11測線の北側に平行する形で掘削点候補点を横断するように設定した.調査仕様は従来と共通である.得られた結果から掘削候補点周辺の空間的な火山性堆積物の分布や基盤の拡がりが明らかになった.掘削点直下では基盤を含めた4つのユニットに分類することができ,海底調査との比較からユニットI・IIは火山砕屑堆積物,ユニットIIIがbasalt,ユニットIVがgabblo/peridotiteと推測される.また金曜海山北側では堆積層全体が西に傾動した構造や,小笠原海嶺では隆起によると思われるブロック状に変形した構造が確認された.本講演では掘削点近傍の空間的構造を示すとともに,本調査域における背弧~前弧までの特徴について南北との比較を議論する.