18:15 〜 19:30
[SCG68-P01] 地殻変動・地震活動からみた北部フォッサマグナ地域の地体構造
キーワード:地体構造, 北部フォッサマグナ, 地殻変動, 地震活動, 地震発生層
北部フォッサマグナ地域は, 日本海東縁ひずみ集中帯(岡村, 2002)と新潟-神戸構造帯(Sagiya et al., 2000)が重複した場所に位置し, 過去に1847年善光寺地震(M7.4)や2004年新潟県中越地震(M6.8)などの地殻内地震が発生した地域である. 地殻変動と地震活動が活発な本地域の現行テクトニクスを議論する上では, 地殻の活動特性とその区域性を示す「地体構造」の理解が重要である. しかし, 本地域の地体構造モデルは十分に明らかになっておらず, 深さ方向も含めた3次元の詳細な地体構造を明らかにする必要がある. そこで本研究では, 近年の地殻変動と地震活動に基づき, 本地域の地体構造を明らかにすることを目的とする.
北部フォッサマグナ地域の地殻変動を明らかにするため, 国土地理院GEONETのGPS観測データをGAMIT 10.4 を用いて解析し, 2007年10月から2011年3月までの約3年6ヶ月間の水平ひずみ分布を求めた. また, 気象庁一元化震源データを使用し, 深さ40 km以浅における東西方向の震源断面図を作成した. これらのデータから本地域の地体構造について議論する.
2011年東北地方太平洋沖地震直前までの約3年6ヶ月間の水平ひずみ分布では, 主に北西-南東方向の短縮ひずみが卓越し, 新潟-神戸構造帯に対応すると考えられるひずみ集中域は, 新潟平野から松本盆地にかけて連続する. このひずみ集中域の東縁は, 新潟平野東縁部を北北東-南南西方向に走る新発田-小出構造線(山下, 1970)の位置におおよそ対応し, 本構造線東側の越後山脈ではひずみ速度は小さい. 竹内(1999)は活断層からみた地体構造区(活断層区)を示しているが, ひずみが大きな信越~新潟堆積盆は逆断層区に対応し, ひずみが小さな中央隆起帯は横ずれ断層区に対応している. また, 東西方向の震源断面において地震発生層の深さ分布に注目すると, 中央隆起帯や越後山脈が位置する横ずれ断層区では地震発生層下限の深度は10 - 15 kmと浅いが, 逆断層区では深さ20 - 30 kmまで深くなっている. さらに地震発生層の上限深度にも変化が見られ, 北部フォッサマグナの厚い堆積層に対応するP波低速度領域内では地震発生数が少なく, 地震発生層は低速度領域を避けるように下方へ落ち込む.
以上の結果より, 堆積盆地と中央隆起帯の境界部において, ひずみ分布と地震発生層深度分布の明瞭な空間変化があることが明らかになった. 地殻の活動特性が大きく変化している箇所では, 異なる2つの構造区が隣接していることが考えられる. 構造境界付近では1847年善光寺地震, 2004年新潟県中越地震, 2011年長野県北部地震などの地殻内地震が発生しているが, 構造区境界では地殻物性が大きく変化することで応力集中が起きやすく, 構造区内部で発生する地震よりも大きな地震が発生する可能性が考えられる.
今後は構造境界の深部延長に注目し, より詳細な地体構造の解明を目指す. さらに, 地殻変動・地震活動の時間変化を見ることで, 地体構造の挙動変化についても議論していきたい.
北部フォッサマグナ地域の地殻変動を明らかにするため, 国土地理院GEONETのGPS観測データをGAMIT 10.4 を用いて解析し, 2007年10月から2011年3月までの約3年6ヶ月間の水平ひずみ分布を求めた. また, 気象庁一元化震源データを使用し, 深さ40 km以浅における東西方向の震源断面図を作成した. これらのデータから本地域の地体構造について議論する.
2011年東北地方太平洋沖地震直前までの約3年6ヶ月間の水平ひずみ分布では, 主に北西-南東方向の短縮ひずみが卓越し, 新潟-神戸構造帯に対応すると考えられるひずみ集中域は, 新潟平野から松本盆地にかけて連続する. このひずみ集中域の東縁は, 新潟平野東縁部を北北東-南南西方向に走る新発田-小出構造線(山下, 1970)の位置におおよそ対応し, 本構造線東側の越後山脈ではひずみ速度は小さい. 竹内(1999)は活断層からみた地体構造区(活断層区)を示しているが, ひずみが大きな信越~新潟堆積盆は逆断層区に対応し, ひずみが小さな中央隆起帯は横ずれ断層区に対応している. また, 東西方向の震源断面において地震発生層の深さ分布に注目すると, 中央隆起帯や越後山脈が位置する横ずれ断層区では地震発生層下限の深度は10 - 15 kmと浅いが, 逆断層区では深さ20 - 30 kmまで深くなっている. さらに地震発生層の上限深度にも変化が見られ, 北部フォッサマグナの厚い堆積層に対応するP波低速度領域内では地震発生数が少なく, 地震発生層は低速度領域を避けるように下方へ落ち込む.
以上の結果より, 堆積盆地と中央隆起帯の境界部において, ひずみ分布と地震発生層深度分布の明瞭な空間変化があることが明らかになった. 地殻の活動特性が大きく変化している箇所では, 異なる2つの構造区が隣接していることが考えられる. 構造境界付近では1847年善光寺地震, 2004年新潟県中越地震, 2011年長野県北部地震などの地殻内地震が発生しているが, 構造区境界では地殻物性が大きく変化することで応力集中が起きやすく, 構造区内部で発生する地震よりも大きな地震が発生する可能性が考えられる.
今後は構造境界の深部延長に注目し, より詳細な地体構造の解明を目指す. さらに, 地殻変動・地震活動の時間変化を見ることで, 地体構造の挙動変化についても議論していきたい.