[S-EM37_30PM1] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

[SEM37-15] フィリピン海プレートの運動にまつわる諸問題

*高橋 雅紀¹ (1.産業技術総合研究所　地質情報研究部門)

キーワード：テクトニクス, 古地磁気, フィリピン海プレート

プレートの過去の運動は，海洋底拡大軸を対称に形成された海洋底地磁気異常に基づく相対運動と，ホットスポットトラックによる絶対運動によって復元することができる．ところが，フィリピン海プレートにはホットスポットトラックが存在しないため，過去の運動を復元することができない．さらに周囲を海溝で囲まれているために，他のプレートとの相対運動も不明である．そこで，フィリピン海プレートの過去の運動は，フィリピン海プレート上の地層や岩石の古地磁気によって推定されてきた．すなわち，古地磁気偏角は回転運動を，古地磁気伏角は緯度方向の移動を表しているとして復元図が提案されてきた．しかしながら，古地磁気に基づくプレート運動の復元は，現実的には不可能であると考えられる．講演では，フィリピン海プレートの過去の運動にまつわる諸問題を整理する．