日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21_28AM1] 測地学一般

2014年4月28日(月) 09:00 〜 10:45 413 (4F)

コンビーナ:*高島 和宏(国土交通省国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)、座長:松尾 功二(京都大学 理学研究科)、古屋 智秋(国土交通省国土地理院)

09:45 〜 10:00

[SGD21-04] VLBI 周波数比較への応用と GALA-V システムの開発(III)

*関戸 衛1岳藤 一宏1氏原 秀樹1宮内 結花1堤 正則1長谷川 新吾1ホビガー トーマス1市川 隆一1小山 泰弘2 (1.情報通信研究機構 鹿島宇宙技術センター 時空標準研究室、2.情報通信研究機構 国際連携推進室)

キーワード:超長基線電波干渉計, VGOS, 周波数比較

NICTは、遠隔周波数比較技術の一つとしてVLBIを使った周波数比較技術の開発を進めている。その重要な要素である移設可能な小型広帯域のVLBI局は、次世代の測地VLBI技術の国際標準仕様として各国で開発がすすめられているVGOS(VLBI2010 Global Observing System)仕様に部分準拠した広帯域のVLBIシステム(Gala-V)として開発を進めている。このシステムは周波数標準の比較を目的としているが、もちろん測地観測も同様に可能である。[大型アンテナの広帯域フィード開発]各国で建設がすすめられているVGOSシステムでは、2-14GHzの広帯域観測のためにビーム角の広いフィードを使用しており、これに対応したリングフォーカスと呼ばれる特別な光学系を採用している。これは3オクターブに迫る広い周波数帯域に感度を持つフィードは一般にビーム角が広いためであり、このため従来の広帯域フィードは、既存のカセグレンアンテナへの搭載が困難であった。我々は修正カセグレン方式の34mアンテナに搭載可能な新しい広帯域フィードを独自開発しており、6.4-15GHzが観測可能なフィード試作器を2013年末に34mアンテナに搭載し、6.7GHz,12.2GHzのメタノールメーザの同時観測に成功した。[ゼロ冗長周波数配列―ダイレクトサンプラ]NICTの開発するGala-Vシステムでは、2-14GHzの帯域から、1GHz帯域幅の4つのバンドをゼロ冗長配列となる周波数間隔で取得する。これにより不定性(Ambiguity)のない遅延分解関数がえられ、従来より1桁高い精度の遅延計測が可能となる。Gala-Vシステムでは従来のアナログ周波数変換方式に加えて、高速サンプラを使って周波数変換なしにデータを取得するダイレクトサンプラを使い、デジタルフィルタで特定の周波数帯域を取得する方式を試験的に採用している。ダイレクトサンプリング方式が確立すれば、システムに必要な機材・コストが簡略化・削減できる。[広帯域信号合成技術の開発]VGOSシステムでは、2-14GHzの広帯域の信号を位相合成して高精度の遅延を計測する。従来にない超広帯域の信号を合成するため、広帯域の安定した位相校正信号と、電離層による非直線性の位相変動を推定しながら、群遅延を高精度に求める新しい処理ソフトウェアが必要となる。