日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21_28AM2] 測地学一般

2014年4月28日(月) 11:00 〜 12:45 413 (4F)

コンビーナ:*高島 和宏(国土交通省国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)、座長:落 唯史(独立行政法人産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)、大市 一芳(海上保安庁海洋情報部)

11:00 〜 11:15

[SGD21-08] 冬季実験データを用いたGNSSアンテナへの着雪による測位誤差評価

*吉原 貴之1本吉 弘岐2佐藤 威2山口 悟2斎藤 享1 (1.独立行政法人電子航法研究所、2.独立行政法人防災科学技術研究所)

キーワード:GNSS, 着雪, 位置誤差, 精密測位, 伝搬遅延, GPS

GPSなど衛星航法システム(GNSS)を用いた精密測位において、GNSSアンテナに付着した雪(着雪)によって測位解に誤差が生じることは早くから指摘され、知られている[1]。この影響はアンテナへの着雪の状態と衛星配置で時々刻々と変化するものと考えられるが、定量的な評価は重要である。本研究では、このようなGNSSアンテナへの着雪の影響について、GNSS受信データにおける受信強度低下、伝搬遅延を定量的に把握し、もたらされる位置決定誤差の評価が可能な観測データを取得する冬季実験を実施した。冬季実験は独立行政法人防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター露場内で、気象観測機器(気圧、気温、湿度、風向風速、降水量、積雪深等)から約50m離れた地点にGPSアンテナを設置し、アンテナへの着雪の様子を定点巡回カメラで10分毎に撮影して2011年/2012年冬季及び2012年/2013年冬季の2回実施した。着雪のGNSS受信データへの影響の評価方法として、GNSSアンテナに付着した雪の落下に伴う受信データの変動を定量的に調査した[2]。その結果、2011年/2012年冬季実験データからアンテナ上に40cm程度の高さまで成長した着雪が落下した際に、受信強度(C/N0)が数dB変動するとともに、搬送波位相観測値のステップ状の変動から着雪によりGPS衛星視線方向に4cm程度の伝搬遅延が生じていたことが明らかとなった。発表では、これら実験データを基にした着雪の成長と測位誤差の関係を示すとともに、GPS衛星毎の伝搬遅延と衛星配置の関係から導かれるシミュレーションによる検証結果を示す予定である。また、2012年/2013年冬季には着雪の影響を軽減する対策としてアンテナレドームに撥水塗料を塗布したが、この検証結果についても紹介する。References[1] R. Jaldehag, J. Johansson, J. Davis and P. Elosegui, "Geodesy using the Swedish permanent GPS network: Effects of snow accumulation on estimates of site positions", Geophys. Res. Lett., vol.23, No.13, pp.1601-1604, June 1996.[2] T. Yoshihara, H. Motoyoshi, T. Sato, S. Yamaguchi and S. Saito, "GAST-D integrity risks of snow accumulation on GBAS reference antennas and multipath effects due to snow-surface reflection", Proc. ION ITM 2013,no.A1-5,pp.112-120,San Diego,CA,January 2013.