日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21_28AM2] 測地学一般

2014年4月28日(月) 11:00 〜 12:45 413 (4F)

コンビーナ:*高島 和宏(国土交通省国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)、座長:落 唯史(独立行政法人産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)、大市 一芳(海上保安庁海洋情報部)

11:15 〜 11:30

[SGD21-09] 沿岸部におけるGPS連続観測への海面高の長周期変動成分の影響

*大市 一芳1 (1.海上保安庁海洋情報部)

キーワード:GPS, 潮汐観測, 地殻変動, 海面変動, 年周変動

海洋情報部では1999年から南関東の当庁所管験潮所等に設置しているGPS固定点で地殻変動監視観測を継続的に実施しており、下里本土基準点に設置したGPS固定点との長基線解析により地球重心を基準とした精密位置決定を実施しているが、いくつかの観測局においては解析結果に顕著な年周変動が見られる。一方、この地域においては海上保安庁や気象庁の設置した験潮所が海面変動の連続観測を実施しており、毎時データが日本海洋データセンターにおいて公開されている。このGPS解析結果の変動成分に対し、験潮所の海面観測によって得られた海面高の上下動から長周期成分を抽出して相関関数を求め、沿岸部における荷重変化のGPS観測局に対する影響の評価を試みたのでこれを報告する。2002年以降、海洋情報部では伊豆諸島海域のGPS固定局について30秒間隔の観測値とIGS最終暦を使用してBerneseによる下里水路観測所のGPS局との基線解析を行い、地心座標系における24時間平均の精密位置を継続的に求め、同海域における地殻変動を監視し防災のための基礎情報として蓄積している。しかしながら、GPSの解析結果には定常的な地殻変動以外の成分が含まれており、特に伊豆大島局については南北方向の年周変動が顕著である。この変動は同島に設置された国土地理院の4箇所の電子基準点の位置変動と同期的であり、およそ一年の周期で見掛け上伊豆大島全体が膨張と収縮を繰り返している様子が分かる。この歪みの主要因として局地的な荷重の変化が考えられるが、沿岸部であるため潮汐等の海水の移動による成分が大きいと予想できる。当該観測局のGPSによる解析位置は日平均値であるため、潮汐の主要成分である日周期および半日周期の成分の影響は無視できるが、年周期などの長周期の成分については十分に考慮されていない。また、近傍の験潮所における海面高観測によると、年周期の変動も数十cm程度の振幅を持っており、沿岸部における長周期の海水荷重の変動は大きいと期待される。GPSによる地殻変動監視から年周変動成分を取り除くため、海面高の変動に伴う荷重変動に着目して解析を試みた。解析は、伊豆大島局、三宅島局、神津島局、八丈島局の4箇所のGPS局における2002年以降の日平均精密位置の系列を対象とした。このうち、三宅島局、神津島局、八丈島局は験潮所に併設されているため、局位置における海面高変動との相関関数を求めた。伊豆大島局については灯台に併設であるため、同島内に設置された気象庁の岡田検潮所における海面高変動との相関関数を求めた。