日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21_28PO1] 測地学一般

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*高島 和宏(国土交通省国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)

18:15 〜 19:30

[SGD21-P01] 同一基線におけるGNSS測量機及び測距儀による観測距離の比較

*吉田 茂1佐藤 雄大1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:GNSS測量機, 光波測距儀(EDM), 不確かさ, トレーサビリティ

国土地理院では,GNSS測量機を用いた距離観測において,国際標準とのトレーサビリティを確立するための研究を実施している.距離(長さ)の基準は光の速さを元に定義されており,国際標準も光の速さで決められている.トレーサブルな測距をおこなうには,国際標準と関連づけられた光波測距儀(EDM)を使用すればよい.しかしながら,近年,あらゆる測量に使用されているGNSS測量機は,観測距離に国際標準とのトレーサビリティが確保されていない.このため,今回の研究は,同一基線においてGNSS測量機と測距儀による観測を実施し,測定された距離を比較することで,GNSS測量機における観測距離にトレーサビリティを持たせることを目標としている.
観測方法は,まず,長さの国際標準にトレーサブルなEDMを使用してトレーサビリティを持つ基線を作り,次に,その場所でGNSS測量機を使用した観測を行い,EDMで得られた値と比較して拡張不確かさを求めることで,GNSS測量機における観測距離にトレーサビリティを持たせることとした.研究のために,2kmの基線を坂東市と常総市の境界を流れる利根川支流飯沼川の河川管理用道路に設置した.
EDMのトレーサビリティは「気象条件が変化しない屋内において200mまで」保証されているので,できるだけその条件に近づけようと,2kmの基線を分割し,それぞれの部分で気象補正を考慮した測距をおこなった.その結果から,部分ごとの最良推定値及び合成不確かさを求めたうえで,最終的に2km基線全体の拡張不確かさを求めた.
GNSS測量機による観測は,各観測点で6時間の観測を行った.このうち,2km基線全体に相当する基線で3回得られた観測距離と,EMD観測で得られた最良推定値を元に,比較と拡張不確かさの推定をおこなった.
その結果,今回の基線の全長は,1,999.9828m,EDMによる拡張不確かさは,1,999.9828±0.0014m,GNSS測量機による拡張不確かさは,1,999.9828±0.006mと算出,2km基線におけるトレーサビリティの付与は問題ないと判断した.