日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21_28PO1] 測地学一般

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*高島 和宏(国土交通省国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)

18:15 〜 19:30

[SGD21-P02] 松代の石英管伸縮計で観測されている東北地方太平洋沖地震後の東西方向の伸び続ける変化について

*橋本 徹夫1舟越 実1 (1.気象庁精密地震観測室)

キーワード:伸縮計, 傾斜計, 余効変動, 平成23年(2011年)東北地方太平洋地震

松代の伸縮計に,平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の際には,コサイスミックステップとして5.8×10-7の東西方向の伸びが観測された。その後,1ヶ月間ほど,余効変動と見られるうえに凸の伸びの0.4×10-7の変動が観測されており,さらにその後の2011年10月ごろから,揺らぎがあるものの伸び続ける変動が観測されており,0.5×10-7の変動となっている。同様の傾向が,松代や神岡の超伝導重力計に観測されている(今西,私信)ことを考慮すると,この伸び変動は局所的なものではなく,実際の地殻変動を観測しているものと思われる。
 図に2010年からの伸縮計,傾斜計,坑道内の気温,および,伸縮計の補助観測点の変化を示す。気温は,この期間で,およそ0.03℃の上昇があるが,石英管の温度感度が5.4×10-7であることを考慮すると,伸び変化に気温の影響はほとんど現れていないと思われる。また,複数観測点で伸び続ける現象が見られていることも,実際の変化を見ていることを示している。さらに,傾斜計においては,日が仕上がりの変化が続いている。伸縮計において,地震の波動(図には表示されていない)からその後の余効変動に続く,地殻変動を一貫して統一的な計測器として捉えることができた。この伸び現象は,地質学的な隆起現象の一環を示しているのかもしれない。
謝辞:東京大学地震研究所の今西祐一准教授から,松代と神岡の超伝導重力計の重力値が東北太平洋沖地震以後,減り続けていることをご教示いただきました。