日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD22_1AM2] 重力・ジオイド

2014年5月1日(木) 11:00 〜 11:45 413 (4F)

コンビーナ:*今西 祐一(東京大学地震研究所)、松本 晃治(国立天文台RISE月惑星探査検討室)、座長:小澤 拓(防災科学技術研究所)、松尾 功二(京都大学 理学研究科)

11:30 〜 11:45

[SGD22-P01_PG] 日本のジオイド2011(GSIGEO2011)の構築

ポスター講演3分口頭発表枠

*兒玉 篤郎1宮原 伐折羅1河和 宏1黒石 裕樹1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:日本のジオイド2011, ジオイド・モデル, 測量成果

国土地理院では、日本のジオイド・モデル「日本のジオイド2000」を構築し、我が国における測量の位置基準となる三角点等の設置について、このモデルを用いることでGNSS測量による楕円体高から標高への変換を実現し、基準点測量の効率的な実行に大きく寄与してきた。今回、衛星測位の標高測量へのさらなる活用拡大として、GNSS測量から3級水準点相当の標高を求めることを可能にするため、日本の新しいジオイド・モデル「日本のジオイド2011(GSIGEO2011)」を構築したので、報告する。
「日本のジオイド2011」の構築には、日本の新しい重力ジオイド・モデルJGEOID2008(Kuroishi, 2009)を基盤とし、全国750点を超える電子基準点において取得した正確なジオイド高データに適合させるよう、最小二乗コロケーション法を用いた補正を加え、混合ジオイド・モデルとして作成する手法を用いた。3級水準点の標高決定に適用するため、入力に用いたジオイド高データに対するモデルの再現性として標準偏差2 cmを達成するモデルの構築を目標とした。JGEOID2008では、従来の重力ジオイド・モデルに含まれていた、一部地区の系統誤差が大幅に低減されており、ジオイドの短波長成分をより細かく補正することで混合ジオイド・モデルの高精度化が実現した。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の発生に伴い、東日本を中心とする広域に亘り、大規模な地殻変動が生じた。それに対し、国土地理院は、復旧測量を迅速に行い、東日本地域における基準点の測量成果を改定した。また、この地震に伴って大きな地殻変動が発生した地域について電子基準点におけるジオイド測量を新たに行い、それによって得られたジオイド高データを用いたので、「日本のジオイド2011」は、改定された測量成果に適合している。
国土地理院は、構築された「日本のジオイド2011」を公表し、一部島嶼部を除く全国について、標高成果を持った電子基準点を与点とするGNSS測量を行うことで3級水準点相当の標高決定を可能とするべく取り組んでいる。これにより、我が国における測量作業のさらなる効率化につながることを期待している。