日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL42_29AM1] 地球年代学・同位体地球科学

2014年4月29日(火) 09:00 〜 10:45 419 (4F)

コンビーナ:*田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、座長:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)

10:00 〜 10:15

[SGL42-04] 方解石の熱ルミネセンス特性

*小形 学1長谷部 徳子1福士 圭介1藤井 直樹2佐藤 努3伊藤 一充4 (1.金沢大学、2.原環センター、3.北海道大学、4.産業技術総合研究所)

キーワード:熱ルミネセンス, 方解石, 年代学

地球科学において用いられる各種現象に対しての時間軸を与える要素を年代と呼ぶ。年代値をもとにして、地球や惑星さらには人類の進化等をさぐることが可能である。そのため年代値は地球科学において最も基本的なデータの1つである。熱ルミネセンス年代測定法とは、放射線を受けた鉱物を加熱するときに出るルミネセンスの量から年代を算出する方法である。炭酸塩鉱物を用いた熱ルミネセンス年代測定は、14C年代測定で欠落している年代を補填できることから、利用されてきた。しかし、方解石の熱ルミネセンス年代測定には様々な問題がある;例えば、加熱中の相変化による感度変化やフェーディング、各放射線(α線、β線、γ線やX線)に対する熱ルミネセンス特性の差などの問題がある。 本研究では、方解石熱ルミネセンス年代測定法の精度・確度を向上させることを目的とし、微量元素濃度の異なる様々な方解石(フィリピン,モンゴル,合成方解石)を用い以下の研究を行った。1. 各方解石のX線誘起熱ルミネセンス特性の測定。2. 各放射線に対する方解石熱ルミネセンス特性の差を測定(X線に対するα,β,γ線のルミネセンス効率をa-x-value,b-x-value,c-x-valueとする)。3. 各不純物濃度と方解石ルミネセンス特性の相関関係を考察する。結果は以下に示す。ⅰ)ほとんどの方解石熱ルミネセンスは80と230℃のピークを示す。ⅱ)方解石熱ルミネセンスの80℃ピークはフェーディングの影響を受ける。ⅲ)a-x-value,b-x-value,c-x-valueはMg,Mn,Fe,Srと相関関係を示すⅳ)Feにはルミネセンス抑制効果が存在する。 Feは方解石熱ルミネセンスに大きな影響を与える。また方解石熱ルミネセンスの特性は複数の要因(Mg,Mn,Sr)によって決定されることが考えられる。様々な不純物濃度を示す方解石の分析を行い不純物濃度と方解石熱ルミネセンス特性の関係を評価することが必要である。