日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT03_29PM2] Structure and dynamics of Earth and Planetary deep interiors

2014年4月29日(火) 16:15 〜 18:00 418 (4F)

コンビーナ:*田中 聡(海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域)、芳野 極(岡山大学地球物質科学研究センター)、亀山 真典(国立大学法人愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、趙 大鵬(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、ヘルンランド ジョン(東京工業大学 地球生命研究所)、座長:Hernlund John(Earth-Life Science Institute, Tokyo Institute of Technology)、太田 健二(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)

16:15 〜 16:30

[SIT03-22] 地磁気移動性磁場の生成過程

*行武 毅1清水 久芳2 (1.なし、2.東京大学地震研究所)

キーワード:地磁気永年変化, 西方移動, 移動性磁場, 核表面流

地球磁場には数百年にわたりほぼ 0.3°/年の速度で西方移動する移動性磁場と同一場所に停滞して変化する停滞性磁場とが存在する。ここでは移動性磁場の生成過程についてひとつのモデルを提案する。 移動性磁場には二つの大きな特徴が存在する。地球磁場を球関数で展開すると、第一に移動性磁場は主として階数と次数が等しい sectorial項から構成されている。第二に移動速度が階数次数によらずほぼ同じである。つまり分散性がない。 移動速度に分散性がない事から移動性磁場はあたかも核内の流体運動に凍結されたような状態で西向きの核内流体の流れの中で生成されていると考える。さらに核表層部の現象であるとすると、表層部で圧倒的に卓越する双極子磁場と流体運動の相互作用によって sectorial項が卓越した移動性磁場が生成される。 単純化して核を3層のモデルで近似する。第1層は核マントル境界に接する薄層でマントルに固着している。第2層は第1層の内側で西向きに回転する層で内部で流体運動により問題の移動性磁場を発生する。第3層は静止流体とする。流体は核内全体で粘性ゼロ、第1層と第3層で電気伝導度有限、第2層で無限大として双極子磁場のもと回転系での計算を行った。さらにマントルの電気伝導度はゼロとする。 肝心なのは第2層内の流体運動でトロイダル流、ポロイダル流に分けて検討した。マントルが絶縁体であるから核マントル境界で電流の鉛直成分がゼロでなければならない。そのためにはトロイダル流は sectorialな流れ、ポロイダル流はmeridionalな流れに限られる。双極子磁場に作用してsectorialなトロイダル流は sectorialなポロイダル磁場を、meridionalなポロイダル流は meridionalなポロイダル磁場を誘導する。これらの磁場は第2層全体の西向きの回転に重畳して西向きに回転する西方移動磁場となる。さらにこれらのポロイダル磁場は第1層で減衰を受けた後マントルを通して地表で観測されることになるが、meridionalな磁場の回転は回転していると認識されないため移動性磁場として観測されるのは sectorial な磁場だけとなる。