日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT38_30AM2] 地球構成物質のレオロジーと物質移動

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 511 (5F)

コンビーナ:*大内 智博(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、桑野 修(独立行政法人海洋研究開発機構)、清水 以知子(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:桑野 修(独立行政法人海洋研究開発機構)

11:00 〜 11:15

[SIT38-08] 上総層群第四紀シルト岩の間隙率および透水係数の有効圧依存性

*丸茂 春菜1上原 真一1田村 幸枝2三橋 俊介2 (1.東邦大学大学院理学研究科、2.東邦大学理学部)

キーワード:上総層群, 間隙率, 透水係数, 異常間隙水圧, 室内岩石透水実験

上総層群は、房総半島中・北部に広く分布する海成の鮮新世‐中期更新生の地層である。上総層群中の泥岩は第1次圧密段階であり、間隙率は37.9~55.5%で地質年代が古くなるにつれて減少している(井波, 1983)。また、上総層群の特徴として高間隙率異常が見られる層準であり、天然ガス鉱床と一致している。この高間隙率異常は、異常高間隙圧によって生成されたと推定されている。その発達過程については、天然ガスの生成と関連させて議論した研究もあるが、定量的に十分な検討がなされていないのが現状である。地下深部で異常高間隙圧が保持されると堆積盆地や付加体の圧密の進行が妨げられ、間隙率や透水係数が減少しない。また、異常高間隙圧は岩石中や堆積層内の流体や石油移動の駆動力となり、さらに断層面の摩擦強度にも影響する。このように、異常高間隙圧は様々な現象において影響を与えるため、その発達メカニズムを解明することは重要である。そこでわれわれは、Tanikawaら(2008)の単純な堆積-圧密過程を基盤とした一次元モデルを基に、上総層群での異常高間隙圧発達メカニズムを検証することを目指している。そのためにまず本研究では、上総層群のシルト岩について、間隙率と透水係数の有効圧依存性を室内岩石透水実験を用いて求めた。間隙率および透水係数の測定には、東邦大学の容器内岩石圧縮変形透水試験機を使用した。岩石試料には、上総層群の梅ヶ瀬層、大田代層、黄和田層、大原層および勝浦層の露頭より採取した岩石ブロックを直径約40㎜、高さ約30㎜の円柱形に整形したものを使用した。間隙流体は蒸留水、封圧媒体には油を使用した。間隙率測定では、封圧上昇時に試料から排出される水の量を測定することで有効圧下の間隙率を推定した。透水係数は、試料両端の圧力差を一定にし、定常状態における流量を測定することで求めた(定差圧流量法)。それぞれの測定は、有効圧が0 MPa~35 MPaの1サイクルの何点かの応力条件で行った。各試料の間隙率は約34%~42%の値を示した。ただし、大原層の間隙率は大気圧下で55%と他に比べて高い値を示した。一方、透水係数は約10-17~10-18m2の範囲の値を示した。間隙率、透水係数はどちらも有効圧が上昇するにつれて減少する傾向がみられた。また、同じ有効圧でも、有効圧下降時の値は、上昇時の値に比べて小さい値を示す傾向がみられた。実験の結果に基づき、各層序の岩石について間隙率および透水係数を有効圧との関数として表した。また、間隙率と透水係数の関係について検討した。