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[SIT38-P01] 第四紀上総層群シルト岩のスケンプトン係数と続成作用の関係
キーワード:スケンプトン係数, 続成作用, 上総層群, 間隙率, 圧縮率, 室内岩石実験
スケンプトン係数(以下B値)は岩石や堆積物の基本的な物理特性である。B値は、非排水条件における、岩石に働く封圧の変化量に対する間隙水圧の変化量の割合を示す。例えば堆積盆中の異常高間隙水圧の発達メカニズムを検討する上では、続成作用の過程においての堆積物や堆積岩のB値の変化について考慮する必要がある(Tanikawa et al., 2008)。しかしながら、この性質はまだよくわかっていないのが現状である。本研究では続成作用とB値の関係を明らかにすることを目的として、第四紀上総層群の各層準のシルト岩の有効圧下での間隙率の測定結果からB値を算出し、その結果を比較した。またB値を直接測定する実験も行い、上述の手法で算出した値と比較することで、これらの測定手法について検討した。
室内実験では上総層群の梅ヶ瀬層、大田代層、黄和田層、大原層及び勝浦層から採取したシルト岩を直径40mm、高さ30mmの試料に整形したものを使用した。室内実験は東邦大学の容器内圧縮変形透水試験機を用いて、温度は室温、封圧は2MPa~35MPaの範囲で行った。間隙流体には蒸留水を用いた。上総層群各岩石試料について有効圧下での間隙率を測定し、有効圧の変化による岩石の体積の変化量は間隙体積の変化量に等しいという仮定のもとで岩石の圧縮率を求め、その結果を用いてB値を推定した。また、B値直接測定実験では非排水条件で封圧を載荷したときの間隙水圧の増加量を測定し、その結果からB値を求めた。
間隙率より推定した上総層群全体のB値の結果から、層準が下位になるほどB値は低いという傾向が得られた。ただし、大原層は比較的下位に位置するにも関わらず、高いB値を示した。これは異常間隙圧の発達など何らかの要因により他の層に比べて堆積物の圧密が十分に進行しなかったことを反映していると考えられる。B値の有効圧依存性に注目すると、B値は有効圧の増加にともなって単調に下がるのではなく、ある有効圧の範囲では増加することがわかった。この増加は過圧密過程から正規圧密過程への変遷にともなって圧縮率が増加することを主に反映している。B値は岩石の圧縮率と間隙率に依存するが、上総層群シルト岩の場合は圧縮率の性質をより強く反映することがわかった。すなわち続成作用が進むと圧縮率は減少するため、B値は減少する傾向がある。また、上総層群の岩石では、B値直接測定実験の結果は間隙率より求めたB値より高い値を示す傾向が見られた。これは、B値直接測定実験においては有効圧を載荷した時間が短く定常状態に達していなかったためであると考えられる。
室内実験では上総層群の梅ヶ瀬層、大田代層、黄和田層、大原層及び勝浦層から採取したシルト岩を直径40mm、高さ30mmの試料に整形したものを使用した。室内実験は東邦大学の容器内圧縮変形透水試験機を用いて、温度は室温、封圧は2MPa~35MPaの範囲で行った。間隙流体には蒸留水を用いた。上総層群各岩石試料について有効圧下での間隙率を測定し、有効圧の変化による岩石の体積の変化量は間隙体積の変化量に等しいという仮定のもとで岩石の圧縮率を求め、その結果を用いてB値を推定した。また、B値直接測定実験では非排水条件で封圧を載荷したときの間隙水圧の増加量を測定し、その結果からB値を求めた。
間隙率より推定した上総層群全体のB値の結果から、層準が下位になるほどB値は低いという傾向が得られた。ただし、大原層は比較的下位に位置するにも関わらず、高いB値を示した。これは異常間隙圧の発達など何らかの要因により他の層に比べて堆積物の圧密が十分に進行しなかったことを反映していると考えられる。B値の有効圧依存性に注目すると、B値は有効圧の増加にともなって単調に下がるのではなく、ある有効圧の範囲では増加することがわかった。この増加は過圧密過程から正規圧密過程への変遷にともなって圧縮率が増加することを主に反映している。B値は岩石の圧縮率と間隙率に依存するが、上総層群シルト岩の場合は圧縮率の性質をより強く反映することがわかった。すなわち続成作用が進むと圧縮率は減少するため、B値は減少する傾向がある。また、上総層群の岩石では、B値直接測定実験の結果は間隙率より求めたB値より高い値を示す傾向が見られた。これは、B値直接測定実験においては有効圧を載荷した時間が短く定常状態に達していなかったためであると考えられる。