日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT39_2AM1] 地球深部ダイナミクス:プレート・マントル・核の相互作用

2014年5月2日(金) 09:00 〜 10:45 416 (4F)

コンビーナ:*綿田 辰吾(東京大学地震研究所海半球観測研究センター)、境 毅(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、中川 貴司(海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域)、座長:坂巻 竜也(東北大学大学院理学研究科)、市川 浩樹(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

09:45 〜 10:00

[SIT39-04] 海洋多重反射波補正した広帯域海底地震計間P波相対走時測定

*大林 政行1吉光 淳子1石原 靖1末次 大輔1 (1.独立行政法人海洋研究開発機構)

キーワード:地殻多重反射, 広帯域海底地震計, トモグラフィー

マントル3次元地震波速度構造の推定において海洋での観測が全球的に解像するのに欠かせない。しかしながら、海底での地震観測は一般的に周期5秒以下でノイズレベルが高いため、相の立ち上がりを読むことは困難である。そこで、約10秒またはそれ以上の周期帯で波形相関をとり、2観測点間の相対的な走時を測定することが行われている(例えば、Toomey et al. 1998, Tanaka et al., 2009)。一方、P波マントルトモグラフィーにおいて、P波走時の分散を有限波長理論を用いてインバージョンに取り入れることは、分解能の向上に有効であり(例えばObayashi et al. 2013 JpGU meeting)、観測点の少ない海洋下では特に大きな効果が期待される。Obayashi et al.(2004)はPP波が反射点下の(海洋を含む)地殻多重反射波の影響で分散が生じることを示した。直達P波でも観測点下の地殻多重反射の影響はあり、特に海洋の多重反射の影響は無視できない。大林ら(2012)は地球深部構造由来の分散を広帯域海底地震計で測定すべく、堆積層を含む海洋多重反射の影響を補正する方法を提案した。それはまず堆積層を含む地殻構造および水深からHaskellのマトリックス法を用いて、観測点下の多重反射の応答を計算し、多重反射応答を互いの観測波形に畳み込み積分し、波形相関により相対走時を測定するというものであった。その際に堆積層の構造が多重反射波の波形に大きな影響を与えるため、堆積層構造の推定が重要であることを報告した。しかしながら、その後の検討の結果、堆積層が1km未満と比較的薄い場合には、走時の測定においては構造の多少の違いはほとんど影響がないことが判明した。 そこで、我々はフレンチポリネシアに展開した広帯域海底地震計に上記測定法を適用した。BBOBSと島の観測点間の波形は補正を施すことでたがいに似るようになり、補正法有効であることを示している。観測された分散の特徴と分散データを取り入れたトモグラフィーの初期結果を報告する。