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[SIT39-11] X線吸収法と超音波法を併用した高圧下におけるFe-C融体の密度-弾性波同時測定
キーワード:密度, 弾性波速度, Fe-C融体
水星や火星、月といった地球型惑星および衛星の液体核は軽元素を含有した鉄合金融体で構成されていると考えられており、これら天体核の組成を解明する為には高温高圧下における鉄融体の密度や体積弾性率に対する軽元素の影響を定量的に評価することが必要となる。このような密度の情報に加え核中の軽元素を特定するためには、地震波速度データと直接比較できる弾性波速度の情報が不可欠である。本研究では弾性波速度測定の手法をSPring-8 BL22XUの装置に新たに導入し、高圧下における鉄合金融体の弾性波速度-密度の同時測定を行った。 高温高圧実験はBL22XU設置の180tonキュービックマルチアンビルプレスを用いた。弾性波測定は超音波法(Higo et al., 2009)、密度測定はX線密度吸収法(Katayama et al., 1993)を用いた。圧力と温度の測定は試料部に封入したMgOとh-BN混合粉末のX線回折パターンから格子体積を求め、2つの圧力マーカーより圧力-温度条件を算出した。 今回の測定ではFe-3.5wt%C組成での測定を行った。圧力・温度条件は2.9 GPa, 1850 Kまでの測定を行った。その結果、X線吸収法により求めた密度の値は1.2 GPa, 1675 Kでは7.01 g/cm3, 2.9 GPa, 1700 Kでは7.15 g/cm3となり圧力とともに密度の上昇が観察された。この結果はこれまで我々が得ているX線吸収密度法の結果(Shimoyama et al., 2013)と調和的な結果であった。また超音波法による測定では試料の前面、背面からの反射波をはっきり観察することができ、得られたFe-C融体の縦波速度VPは、圧力と共に増加する傾向が見られた