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[SMP06-02] 上部マントル条件において水素がenstatiteの相関係に与える影響
キーワード:エンスタタイト, 水素, 上部マントル, レーザー加熱DAC
C-O-H流体はケイ酸塩鉱物の化学組成や融点に大きな影響を与えることから、地球深部でのメルトの生成や化学進化を明らかにする上で重要な物質である。還元的なマントル深部でC-O-H流体はH2Oだけでなく、H2として存在する可能性がある。本研究では、MgSiO3-H2系においてH2流体がケイ酸塩鉱物の相関係に与える影響を明らかにすることを目的として、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧実験を行った。出発物質にはenstatite (MgSiO3)と水素を用いた。加熱、急後の試料のXRD, Raman 測定、回収試料のSEM, TEMを用いた組織観察から高温高圧下でH2流体と共存する相の検討を行った。3.1-13.8 GPa, 1500-2000 Kでの加熱後のXRDから、enstatiteが分解しforsterite とpericlase、coesiteおよびsthishoviteが観察された。加熱後のRamanスペクトルから水素の分子振動が観察されたことから、この分解反応は水素が共存する条件下で起きたことを示している。enstatiteのみの場合には、本研究の温度圧力条件での分解反応は観察されないことから、この反応は水素の影響により起こったと考えられる。回収試料中のcoesiteやsthishoviteは、高温高圧下で水素流体中に溶解した後、再結晶化した組織を示していた。一方でforsteriteやpericlaseは元のenstatiteの外形を保ったまま結晶化していることから、高温下で水素と共存する条件で結晶化したと考えられる。本研究の結果から、MgSiO3-H2系では、水素流体にSiO2成分が溶けてenstatite相が分解し、periclase+ forsterite相が生成する事が示された。