18:15 〜 19:30
[SMP46-P04] スリランカのarrestedチャーノッカイト形成時のモード組成の時間変化
キーワード:スリランカ, チャーノッカイト, 普通角閃石-黒雲母片麻岩, 鉱物モード組成
スリランカ中央部には、普通角閃石-黒雲母片麻岩中に数十cmスケールで局所的にチャーノッカイトが産している。このようなタイプのチャーノッカイトはarrestedチャーノッカイトと言われる。このタイプのチャーノッカイトの成因としては、局所的なH2O濃度の減少や酸素フュガシティーの減少が提案されている。これらはいずれも外部からの流体の流入や部分溶融によって引き起こされると考えられている(例えばNewton et al., 1980; Hiroi et al., 1990; Burton and O’Nions, 1990; Ravindra Kumar, 2004; Endo et al., 2012)。しかしチャーノッカイト化に伴う鉱物の変化の時間的、空間的な発展については未だよくわかっていない。本研究では鉱物のモード変化を記載することにより、それらについて議論した。
片麻岩とチャーノッカイトは、いずれも優白質部と優黒質部の層状構造を示し、両岩石の層状構造はほぼ連続する。優黒質部には片麻岩中では主に普通角閃石と黒雲母が存在し、チャーノッカイト中にはそれらの鉱物と斜方輝石が存在する。優白質部には主に黒雲母と無色鉱物が産する。ただしチャーノッカイト中の優白質部では黒雲母はほとんど存在しない。優黒質部のモードは、片麻岩中では系統的な変化は見られない。チャーノッカイトに入ると普通角閃石は激減し、黒雲母は漸減、斜方輝石は緩やかに増加する。優白質部の黒雲母のモードは、片麻岩中でチャーノッカイトへ向かって減少する。
斜方輝石は優黒質部の黒雲母と普通角閃石の分解が始める場所から出現し、優白質部の黒雲母の分解はそこよりも片麻岩側から生じている。従って優白質部の黒雲母の分解によって放出された元素は、優黒質部の黒雲母と普通角閃石が分解した場所まで移動し、そこで斜方輝石を生成したと考えられる。このことから普通角閃石の分解が先行し、それによって核形成した斜方輝石を成長させるよう、優白質部で分解した黒雲母の元素が移動した可能性が示唆される。同一鉱物間でありながら黒雲母の分解の場所が違うのは、優白質部の方が優黒質部よりも鉄に富んだ黒雲母が存在していることに起因すると考えられる。
Reference
Burton K. W. and O’Nions R. K., The timescale and mechanism of granulite formation at Kurunegala, Sri Lanka, Contrib. Mineral. Petrol. 106, 66-89 (1990)
Endo et al., Phase equilibrium modeling of incipient charnockite formation in NKCFMASHTO and MnNCKFMASHTO systems: A case study from Rajapalaiyam, Madurai Block, southern India, Geoscience Frontiers 3, 801-811 (2012)
Hiroi Y. et al., Arrested charnockite formation in Sri Lanka: Field and petrographical evidence for low-pressure conditions, Proc. NIPR Symp. Antarct. Geosci. 4, 213-230 (1990)
Newton R. C. et al., Carbonic metamorphism, granulites and crustal growth, Nature 288, 45-50 (1980)
Ravindra Kumar G. R., Mechanism of arrested charnockite formation at Nemmara, Palghat regiom, sourthern India, Lithos 75, 331-358 (2004)
片麻岩とチャーノッカイトは、いずれも優白質部と優黒質部の層状構造を示し、両岩石の層状構造はほぼ連続する。優黒質部には片麻岩中では主に普通角閃石と黒雲母が存在し、チャーノッカイト中にはそれらの鉱物と斜方輝石が存在する。優白質部には主に黒雲母と無色鉱物が産する。ただしチャーノッカイト中の優白質部では黒雲母はほとんど存在しない。優黒質部のモードは、片麻岩中では系統的な変化は見られない。チャーノッカイトに入ると普通角閃石は激減し、黒雲母は漸減、斜方輝石は緩やかに増加する。優白質部の黒雲母のモードは、片麻岩中でチャーノッカイトへ向かって減少する。
斜方輝石は優黒質部の黒雲母と普通角閃石の分解が始める場所から出現し、優白質部の黒雲母の分解はそこよりも片麻岩側から生じている。従って優白質部の黒雲母の分解によって放出された元素は、優黒質部の黒雲母と普通角閃石が分解した場所まで移動し、そこで斜方輝石を生成したと考えられる。このことから普通角閃石の分解が先行し、それによって核形成した斜方輝石を成長させるよう、優白質部で分解した黒雲母の元素が移動した可能性が示唆される。同一鉱物間でありながら黒雲母の分解の場所が違うのは、優白質部の方が優黒質部よりも鉄に富んだ黒雲母が存在していることに起因すると考えられる。
Reference
Burton K. W. and O’Nions R. K., The timescale and mechanism of granulite formation at Kurunegala, Sri Lanka, Contrib. Mineral. Petrol. 106, 66-89 (1990)
Endo et al., Phase equilibrium modeling of incipient charnockite formation in NKCFMASHTO and MnNCKFMASHTO systems: A case study from Rajapalaiyam, Madurai Block, southern India, Geoscience Frontiers 3, 801-811 (2012)
Hiroi Y. et al., Arrested charnockite formation in Sri Lanka: Field and petrographical evidence for low-pressure conditions, Proc. NIPR Symp. Antarct. Geosci. 4, 213-230 (1990)
Newton R. C. et al., Carbonic metamorphism, granulites and crustal growth, Nature 288, 45-50 (1980)
Ravindra Kumar G. R., Mechanism of arrested charnockite formation at Nemmara, Palghat regiom, sourthern India, Lithos 75, 331-358 (2004)