18:15 〜 19:30
[SMP47-P06] Fe2SiO4のポストスピネル転移相境界線の決定
キーワード:Fe2SiO4, ポストスピネル, スピネル, 高圧
(Mg,Fe)2SiO4カンラン石は、上部マントルで最も豊富な鉱物である。そのカンラン石は、マントル遷移層中で変形スピネル型を経て、スピネル型(Mg,Fe)2SiO4に相転移する。Fe2SiO4スピネルはその端成分であるため、Fe2SiO4スピネルの相転移は多くの研究者によって研究されてきた(Kawada 1977, Ohtani 1979, Morooka 1992 , Katsura et al. 1998)。これらの研究によって、スピネル型Fe2SiO4が約18GPaで2FexO+SiO2+2(1-x)Feに分解することが明らかにされたが、2価鉄を含むために高温高圧下での酸素分圧によって相境界線が変化し得ることから、その相境界線は十分には確定されていなかった。本研究では、Fe-FeOバッファーにより酸素分圧をコントロールし、Fe2SiO4のポストスピネル転移の相境界線を決定した。
出発物質はFe2SiO4(fayalite) 、FexO及びFeの混合物(モル比10:2:1)であり、Feカプセルに詰められた。高温高圧下で試料の酸素分圧はFe-FeOバッファーでコントロールされた。川井型6-8マルチアンビル高圧発生装置を用いて、出発試料を16~19.5GPa、1000~1400℃の条件下で3~6時間保持し、急冷し回収した。回収した試料について、微小領域及び粉末X線回折装置とSEM-EDSを用いて、相の同定とFexOの格子定数の決定を行った。McCammon(1993)によるFexOの組成と格子定数の関係を用いてxの値を求めた。
Fe2SiO4のポストスピネル転移相境界線は1000~1400℃の温度領域において、P(GPa)=-0.0021T(℃) +19.85と決定され、小さな負の傾きを持つことが分かった。P-T相図上での本研究の相境界線の位置は、Ohtani(1979)やKatsura et al. (1998)とほぼ調和的である。Katsura et al. (1998)では、従来の研究によるFe2SiO4ポストスピネル転移境界線の負勾配の原因がFe2SiO4の分解反応の遅さにあると解釈された。本研究では、1000℃で3時間の実験でFe2SiO4スピネルの分解反応が完全に進行し、1000℃で3時間及び 6時間保持された高圧回収試料中のFexOのx値が誤差範囲で等しい値を示した。これらのことより、1000℃において少なくとも3時間加熱を行えば平衡に達したと考えられる。今回は、1000℃で6時間、1200℃で3時間、1400℃で3時間保持した実験結果に基づき、小さな負の勾配を持つ相境界線を決めており、Fe2SiO4のポストスピネル転移相境界線の負勾配は、速度論による見かけのものではなく本質的なものと考えられる。
出発物質はFe2SiO4(fayalite) 、FexO及びFeの混合物(モル比10:2:1)であり、Feカプセルに詰められた。高温高圧下で試料の酸素分圧はFe-FeOバッファーでコントロールされた。川井型6-8マルチアンビル高圧発生装置を用いて、出発試料を16~19.5GPa、1000~1400℃の条件下で3~6時間保持し、急冷し回収した。回収した試料について、微小領域及び粉末X線回折装置とSEM-EDSを用いて、相の同定とFexOの格子定数の決定を行った。McCammon(1993)によるFexOの組成と格子定数の関係を用いてxの値を求めた。
Fe2SiO4のポストスピネル転移相境界線は1000~1400℃の温度領域において、P(GPa)=-0.0021T(℃) +19.85と決定され、小さな負の傾きを持つことが分かった。P-T相図上での本研究の相境界線の位置は、Ohtani(1979)やKatsura et al. (1998)とほぼ調和的である。Katsura et al. (1998)では、従来の研究によるFe2SiO4ポストスピネル転移境界線の負勾配の原因がFe2SiO4の分解反応の遅さにあると解釈された。本研究では、1000℃で3時間の実験でFe2SiO4スピネルの分解反応が完全に進行し、1000℃で3時間及び 6時間保持された高圧回収試料中のFexOのx値が誤差範囲で等しい値を示した。これらのことより、1000℃において少なくとも3時間加熱を行えば平衡に達したと考えられる。今回は、1000℃で6時間、1200℃で3時間、1400℃で3時間保持した実験結果に基づき、小さな負の勾配を持つ相境界線を決めており、Fe2SiO4のポストスピネル転移相境界線の負勾配は、速度論による見かけのものではなく本質的なものと考えられる。