日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP48_2PM2] メルト-延性-脆性岩体のダイナミクスとエネルギー・システム

2014年5月2日(金) 16:15 〜 17:00 313 (3F)

コンビーナ:*土屋 範芳(東北大学大学院環境科学研究科環境科学専攻)、浅沼 宏(独立行政法人 産業総合技術研究所)、村岡 洋文(弘前大学北日本新エネルギー研究所)、伊藤 久男(独立行政法人 海洋研究開発機構)、座長:土屋 範芳(東北大学大学院環境科学研究科環境科学専攻)

16:30 〜 16:45

[SMP48-08] 宮城県岩沼市に見られる玄武岩質安山岩複合溶岩流の内部分化過程:分結脈から柱状節理へ

木本 和希1、*石渡 明2 (1.東北大学大学院理学研究科地学専攻、2.東北大学東北アジア研究センター)

キーワード:複合溶岩流, 分結脈, 板状節理, 柱状節理, 玄武岩質安山岩, 結晶分化作用

複合溶岩流は、中央部に斑晶質の層を持つ3-5mの薄いものがKuno (1950; 地質雑, 56, 167-172)などによって報告されていたが、我々は、よく発達した柱状節理が全体を貫く単一の冷却ユニットをなし、化学組成の異なる層の境界に分結脈が発達した、非常に厚い複合溶岩流を発見したので、ここに報告する。 中期中新世(15-13Ma)の玄武岩質安山岩の厚さ110 m以上の溶岩が宮城県岩沼市の採石場に露出する。1-2m間隔の柱状節理が露頭全体によく発達する。これは複合溶岩流であり、下部(0-42m)はややSiO2に富み(55 wt.%)、上部(45-110 m)はややSiO2に乏しい(52-54%)。露頭では下部と上部の間にシャープな境界は確認できないが、鏡下では完晶質に近い石基の斜長石が、下部はやや細粒(0.3mm), 上部はやや粗粒(0.5mm)である。溶岩流の底部には赤いクリンカーが確認できるが、上端は侵食されている。この溶岩流には、底から6-14m, 45-64m, 80-95mの3層準にほぼ水平な分結脈が多数発達する。底から6-14mのものは厚さ1mm程度で1-10cm間隔であり、ガラス質で斜長石と普通輝石の微晶を含む。45m付近のものは厚さ5-15mmで10-15cm間隔、52-64mのものは厚さ3-5mmで5-15cm間隔であり、結晶質で斜長石、ピジョン輝石、Caに乏しい普通輝石を含む。80-95mのものは厚さ3-5mmで5-7cm間隔であり、中部と同様の組織・鉱物組み合わせを示す。組成から計算すると、中部の分結メルトはホストのメルトが約70%結晶化した後の残液である。これらの分結脈は、剪断応力や冷却収縮によって生じたほぼ水平な割れ目(板状節理)に残液が浸み出して形成されたものと考えられ、それらは溶岩の底部付近と化学組成が苦鉄質な層準によく発達する。稀に見られる雁行状の分結脈は剪断変形の証拠である。 柱状節理はほぼ水平な溶岩を垂直に貫き、分結脈を完全に切っている。柱状節理の節理面に接する岩石は柱の中央部の岩石よりも密度が低く、鏡下では気泡が見られるが、柱の中央部の岩石は高密度でほとんど発泡していない。このことは、柱状節理は分結脈(板状節理)よりも後に、より低温の状態で形成されたが、その時点でも多少メルトが残っており、割れ目の形成に伴ってその直近のメルトが減圧発泡したことを示唆する。