18:15 〜 19:30
[SMP49-P01] pH 2-3における鉄コロイドの生成速度
キーワード:鉄コロイド, 反応速度論, 動的光散乱法
地球表層環境中には,様々な種類の鉄コロイドが広く分布しており,その生成過程や吸着特性,鉄コロイドを介した物質移動等が注目されている.鉄コロイドは,岩石鉱物中のFe2+やFe3+の溶出,酸化(Fe2+→Fe3+),水和,結晶化等の過程を経て生成することが多い.本研究では,特に溶存Fe3+から鉄コロイドが生成する過程に着目して,反応速度を調べた.
FeCl3を純水に溶解させ,Fe3+100 ppmの溶液を作成した.この溶液を,15, 25, 35, 45, 55 ℃において反応させた.25 ℃においては,作成直後の溶液のpHは2.7であったが,時間の経過と共に約2.2まで減少した.このようなpHの変化は,溶存Fe3+の水和(H+の放出)→溶存Fe(OH)3→固体Fe(OH)3という反応が進むことにより生じる(Grundl and Delwiche, 1993).したがって,溶液のpHの時間変化を調べることにより,鉄コロイドの生成速度に関する情報が得られる.pHの時間変化傾向から,核生成に関連すると推定される溶存Fe(OH)3濃度の変化が小さい(固体生成が遅い)期間を経た後,一次反応的な溶存Fe(OH)3濃度の減少が起こり,さらに時間が経つと一次反応的な挙動からずれていく様子が見られた.反応中期を一次反応と仮定して得られた各温度における反応速度定数は3.3×10-5 ~1.1×10-2 s-1であり,アレニウスプロット上においてよい直線性が認められた.
固体の全体量の時間変化を求める上記の実験に加えて,鉄コロイドの粒径の時間変化も調べた.上記と同様にFe3+100 ppmの溶液を作成し,動的光散乱測定装置(Zetasizer μV, Malvern)を用いて,25 ℃における粒径を連続的に測定した.その結果,鉄コロイドの平均直径が約10 nm(球相当)に成長した時点で十分な散乱強度が検出されるようになり,以降粒径の増大が見られた.実験開始後約8時間が経過すると,ほぼ粒径の増大が止まり,その時点での直径は約30–40 nmであった.また,各時点での総固体量と粒子径から粒子数を見積もると,時間の経過と共に粒子数が減少するという結果を得た.
FeCl3を純水に溶解させ,Fe3+100 ppmの溶液を作成した.この溶液を,15, 25, 35, 45, 55 ℃において反応させた.25 ℃においては,作成直後の溶液のpHは2.7であったが,時間の経過と共に約2.2まで減少した.このようなpHの変化は,溶存Fe3+の水和(H+の放出)→溶存Fe(OH)3→固体Fe(OH)3という反応が進むことにより生じる(Grundl and Delwiche, 1993).したがって,溶液のpHの時間変化を調べることにより,鉄コロイドの生成速度に関する情報が得られる.pHの時間変化傾向から,核生成に関連すると推定される溶存Fe(OH)3濃度の変化が小さい(固体生成が遅い)期間を経た後,一次反応的な溶存Fe(OH)3濃度の減少が起こり,さらに時間が経つと一次反応的な挙動からずれていく様子が見られた.反応中期を一次反応と仮定して得られた各温度における反応速度定数は3.3×10-5 ~1.1×10-2 s-1であり,アレニウスプロット上においてよい直線性が認められた.
固体の全体量の時間変化を求める上記の実験に加えて,鉄コロイドの粒径の時間変化も調べた.上記と同様にFe3+100 ppmの溶液を作成し,動的光散乱測定装置(Zetasizer μV, Malvern)を用いて,25 ℃における粒径を連続的に測定した.その結果,鉄コロイドの平均直径が約10 nm(球相当)に成長した時点で十分な散乱強度が検出されるようになり,以降粒径の増大が見られた.実験開始後約8時間が経過すると,ほぼ粒径の増大が止まり,その時点での直径は約30–40 nmであった.また,各時点での総固体量と粒子径から粒子数を見積もると,時間の経過と共に粒子数が減少するという結果を得た.