日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS23_1PM1] 強震動・地震災害

2014年5月1日(木) 14:15 〜 16:00 211 (2F)

コンビーナ:*元木 健太郎(小堀鐸二研究所)、座長:佐口 浩一郎(東京工業大学大学院総合理工学研究科)

15:00 〜 15:15

[SSS23-18] インドヒマラヤ地域における強震動観測ネットワークによる地震検知

*増田 徹1纐纈 一起1鷹野 澄2古村 孝志2大木 聖子3伊藤 貴盛3Chadha Rajender Kumar4Srinagesh Davuluri4Srinivas Dakuri4 (1.東京大学地震研究所、2.東京大学情報学環、3.慶応義塾大学大学院、4.National Geophysical Research Institute)

キーワード:強震動, 観測, ネットワーク, 地震検知

自然災害の要因究明に向けた観測データの収集と解析のための技術的開発及び整備は、地震災害の減災、緊急対策、及び復旧計画の策定にとって重要課題の一つである。「自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究」はこの課題に対するJSTとJICAの国際共同研究「地球規模課題国際科学技術協力プロジェクト」のひとつであり、日本とインドの研究者が参加し、インドヒマラヤ地域のヒンドゥスタン平野とヒマラヤの麓において強震動観測、地殻変動観測、及び建物振動に関する研究を進めているところである。インド北部ヒマラヤ地域の地震活動度の高い領域に26観測点を配置し、2012年10月にこの地域での強震観測が開始された。地震計には広帯域速度型強震計を選択しデジタルレコーダーによる連続記録を得ている。地震計の記録帯域が広いことと記録計の分解能が高いことにより、短周期強震動の記録のみならず、観測ネットワークの近傍で発生する小地震からの微弱な地震動や遠地地震からの長周期地震動も記録されることが期待される。地震記録を有効に利用するためには連続記録のなかから地震記録を取り出すことが必要である。本報告では、連続記録から地震を早く正確に検知するための方法とその結果について報告する。ネットワークの観測点はヒマラヤ地域の学校敷地内に設置されているため、地動ノイズが常に低いということはなく時間により変化し、また突発的な大きなノイズが発生することもある。このことを踏まえて、ノイズが高い環境でも早く正確に地震を検知するための簡単な方法を開発し、この方法で検知した地震とNEICカタログに記載されている地震とを比較した。観測開始から現在までの期間で、震央距離に関わりなく、マグニチュード7.0以上の全ての地震、マグニチュード6.5~6.9の地震の90%以上、マグニチュード6.0~6.4の地震の50%以上がネットワークにより検知された。震央距離100度以内の範囲ではマグニチュード6以上の80%以上の地震が検知された。検知された地震のなかにはNEICカタログに記載されていない地震が含まれる。S-P時間からネットワーク近傍の小地震であると判断されるが、これらは狭い領域内での応力状態を示す指標となるものであり、このような地震の検知はこの地域の地震環境を明らかにする上で重要である。現在までの結果から、強震動観測ネットワークにより、ヒマラヤ地域の地震活動、震源から観測点までの伝播経路の影響、観測点におけるサイト特性、震源過程、地下構造の研究のために、ネットワーク近傍の地震及び遠地地震からの有効な記録が得られることが期待される。