18:15 〜 19:30
[SSS23-P10] 新しい地震動予測式による地震ハザード評価
キーワード:地震ハザード評価, 地震動予測式, ばらつき
地震調査研究推進本部による「全国地震動予測地図」では、司・翠川(1999)の最大速度の式(距離減衰式)による地震ハザード評価が行われており、震度の評価については最大速度との経験的な関係式による変換がなされている。現在の地震ハザード評価においてはモーメントマグニチュード(Mw)が9クラスの地震まで考慮することが必要不可欠となっているが、司・翠川(1999)の式はMw8.3までの地震による強震動記録から求められており、それよりも規模の大きな地震に対しては、振幅が頭打ちするという仮定のもとで適用されている。本検討では、2011年東北地方太平洋沖地震の観測記録も含めて求めた新しい地震動予測式により地震ハザードを試算し、全国地震動予測地図と比較した結果について報告する。
対象とする地震動は、工学的基盤上(ここでは、Vs=400m/s層上面とする)の最大速度および地表の最大速度と計測震度とした。地表の値は、約250mメッシュの微地形分類全国マップに基づく表層30mの平均S波速度を用いて求めた。
まず、予測式から求められる地震動分布を比較した。ここでは、地殻内の地震として、①糸魚川-静岡構造線断層帯(Mw=7.4)、②六日町断層帯(Mw=6.6)、海溝型プレート間地震として、③南海トラフの最大クラスの地震(Mw=9.1)、④十勝沖地震(Mw=8.1)、海溝型プレート内地震として、千島海溝沿いのやや浅い地震(Mw=8.2)、千島海溝沿いのやや深い地震(Mw=7.5)を対象とした。いずれの地震についても、最大速度の比較では、工学的基盤上と地表のいずれも、新しい式で考慮した深部地盤による増幅特性の影響が顕著に見られ、新しい式で平野部が大きく、山地部で小さくなる。ただし、深部地盤の影響は地表の計測震度ではそれほど顕著ではない。また、最大速度と計測震度で共通に見られる傾向として、海溝型地震における遠方の地域(おおむね100km以遠)で新しい式の予測値が小さくなっている。ただし、震源の深さが30kmよりも深い地震については、司・翠川式の距離減衰よりも観測記録の減衰の傾きが急で過大評価することが指摘されており(翠川・大竹、2002)、実際に、観測記録との比較からも新しい式による予測結果が妥当であることを確認している。
続いて、南海トラフの巨大地震を対象とした地震ハザードを比較した。ここで、震源域および各震源域に対する「重み」の設定は地震調査委員会(2013)のものを用いた。また、ばらつきの値は、「全国地震動予測地図」における値をそのまま用い、計測震度(I)については、その半分の値(I/2)に対して正規分布を仮定して同じ値を適用した。上述の地震動分布の比較から予想される通り、全体的に新しい式によるハザードは特に遠方の日本海側で大きく減少する。ただし、深部地盤による増幅が特に大きい関東平野や大阪では極端な減少とはなっていない。また、計測震度で見た場合、低確率で反対に新しい式による結果の方が大きい場合も見られた。これは、設定しているばらつきの値が一致していないことが影響していると考えられる。ばらつきの値については、従来の評価で用いられているものから変更するのに十分な知見が得られていないことから現状のままとしているが、地震ハザード評価における適切なばらつきの値を設定するための検討が今後さらに重要となってくる。
対象とする地震動は、工学的基盤上(ここでは、Vs=400m/s層上面とする)の最大速度および地表の最大速度と計測震度とした。地表の値は、約250mメッシュの微地形分類全国マップに基づく表層30mの平均S波速度を用いて求めた。
まず、予測式から求められる地震動分布を比較した。ここでは、地殻内の地震として、①糸魚川-静岡構造線断層帯(Mw=7.4)、②六日町断層帯(Mw=6.6)、海溝型プレート間地震として、③南海トラフの最大クラスの地震(Mw=9.1)、④十勝沖地震(Mw=8.1)、海溝型プレート内地震として、千島海溝沿いのやや浅い地震(Mw=8.2)、千島海溝沿いのやや深い地震(Mw=7.5)を対象とした。いずれの地震についても、最大速度の比較では、工学的基盤上と地表のいずれも、新しい式で考慮した深部地盤による増幅特性の影響が顕著に見られ、新しい式で平野部が大きく、山地部で小さくなる。ただし、深部地盤の影響は地表の計測震度ではそれほど顕著ではない。また、最大速度と計測震度で共通に見られる傾向として、海溝型地震における遠方の地域(おおむね100km以遠)で新しい式の予測値が小さくなっている。ただし、震源の深さが30kmよりも深い地震については、司・翠川式の距離減衰よりも観測記録の減衰の傾きが急で過大評価することが指摘されており(翠川・大竹、2002)、実際に、観測記録との比較からも新しい式による予測結果が妥当であることを確認している。
続いて、南海トラフの巨大地震を対象とした地震ハザードを比較した。ここで、震源域および各震源域に対する「重み」の設定は地震調査委員会(2013)のものを用いた。また、ばらつきの値は、「全国地震動予測地図」における値をそのまま用い、計測震度(I)については、その半分の値(I/2)に対して正規分布を仮定して同じ値を適用した。上述の地震動分布の比較から予想される通り、全体的に新しい式によるハザードは特に遠方の日本海側で大きく減少する。ただし、深部地盤による増幅が特に大きい関東平野や大阪では極端な減少とはなっていない。また、計測震度で見た場合、低確率で反対に新しい式による結果の方が大きい場合も見られた。これは、設定しているばらつきの値が一致していないことが影響していると考えられる。ばらつきの値については、従来の評価で用いられているものから変更するのに十分な知見が得られていないことから現状のままとしているが、地震ハザード評価における適切なばらつきの値を設定するための検討が今後さらに重要となってくる。