日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS23_1PO1] 強震動・地震災害

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*元木 健太郎(小堀鐸二研究所)

18:15 〜 19:30

[SSS23-P12] 地盤伝達関数展開を利用した地盤増幅特性の分解法について

*後藤 浩之1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:地盤震動, 地盤増幅, 関数展開

表層の地盤震動特性は,地域の地震ハザードレベルを相対的に理解するためにも重要である.従来,様々な方法で地盤震動特性を定量的にモデル化する試みがなされてきたが,広い範囲で面的に評価するためにはAVS30などの単純化された指標に頼らざるを得なかった.単純でありながらも物理的背景を持つような特性化手法が存在するのであれば,非常に実用的であろう.

本発表では,単純な非減衰2層系伝達関数列によって任意の複素関数を級数展開できる,という特徴を利用して,任意の地盤増幅特性を級数展開した場合にその係数は物理的にどのように理解できるか,ということを論じる.この展開の存在や一意性については数学的に厳密に議論されているが,上述したような目的に利用するためには具体的に物理と対応させる事も重要である.

ここでは,いくつかの数値実験を行う事でその物理的性質を確認した.一例として,中間層の物性をランダムに構成した水平多層地盤についてその伝達関数を級数分解した.中間層が均質である2つの極端なモデルについて,それぞれに対応する展開係数の絶対値を調べると,中間層の平均インピーダンス比との間によい対応が見られた.このことは,展開係数がそれぞれのモデルからの寄与の割合という物理的な意味を持つことを示唆するものである.

参考文献
Goto, H.: Series expansion of complex ground amplifications with a sequence of simple transfer functions, Earth. Engng. Struct. Dyn., 投稿中.
後藤浩之:地盤伝達関数のクロスタームに関する基本的な性質,土木学会論文集A2,69(2),I_435-446,2013.