18:15 〜 19:30
[SSS23-P18] 広帯域の強震動波形を用いた岩手・宮城内陸地震の強震動生成域の構築
キーワード:岩手宮城内陸地震, 強震動生成域, 広帯域の強震動
1.はじめに
2008年岩手・宮城内陸地震(Mw6.7)では、地震の揺れにより建物被害や土砂災害などの被害が発生した。この地震は、地表断層が見つかっており、かつ、断層直上を含めた震源に非常に近い観測点が存在することから、これらの強震動波形を利用した震源メカニズムの解明が可能な地震の一つである。特に、短周期から長周期までの広帯域に対応した強震動生成域の推定および強震動の発生メカニズムの把握は、将来の強震動予測のためにも重要である。本研究では、本地震の広帯域の強震動波形を用いた岩手宮城内陸地震の強震動生成域モデルの構築を目的としている。
2.これまでの強震動生成域震源モデル
筆者らは、2008年と2013年に経験的グリーン関数法を用いて、フォワードモデリングにより強震動生成域の推定を行ってきた。
2008年の強震動生成域震源モデル1)は、遠地実体波を用いて推定された波形インバージョン結果を参考として、震源付近の観測点における本震観測記録の再現を主眼としてフォワードシミュレーションを実施されている。この解析では、強震動生成域が震源よりも南側だけでなく北側にも必要であることが示されている。しかしながら、解析で用いられている断層面の幾何学的位置関係に関しては、精度が十分でないという問題があった。
2013年の強震動生成域モデル2)は、地震直後に行われた高密度な余震観測記録により推定された精度の高い余震分布を利用して、正確な断層の幾何学位置を決めて解析を実施されている。特に、IWTH25(一関西)の上下動成分に注目し、経験的グリーン関数法と理論グリーン関数を用いて、強震動生成域の再決定を実施している。しかしながら、震源極近傍の記録はIWTH25(一関西)観測点しか利用されておらず、必ずしも一般性のあるモデルになっていない可能性があった。
3.広帯域の強震動波形を再現する強震動生成域の構築
本研究では、IWTH25(一関西)観測点のみならず、震源近傍の地震観測点を利用して、
強震動生成域の推定を試みる。特に、震源極近傍の記録として荒砥沢ダムがありこの記録が利用できれば、本地震の震源メカニズムの解明に繋がると考えられる。特に、荒砥沢ダムの本震波形は、比較的大きな強震動が観測されていることから、ダムの近くに強震動生成域が存在する可能性があるため確認が必要である。
荒砥沢ダムの本震記録は、断層モデルの地表境界付近に存在しており、Near-field-termの影響を受けている可能性がある。したがって、経験的グリーン関数法を利用する場合、本震波形を再現するためには、経験的グリーン関数となる要素地震にも同様なNear-field-termを含んだものが必要と考えられる。もし、そのような余震がない場合は、低周波側は理論波形、高周波側は要素地震を利用したハイブリッド法による解析が必要となる。現在、このダムにおける余震記録は入手できていないが、入手可能であれば経験的グリーン関数法による解析を実施する予定である。本発表では、理論手法により震源モデルを構築して本震の再現を試みたので報告する。
2008年岩手・宮城内陸地震(Mw6.7)では、地震の揺れにより建物被害や土砂災害などの被害が発生した。この地震は、地表断層が見つかっており、かつ、断層直上を含めた震源に非常に近い観測点が存在することから、これらの強震動波形を利用した震源メカニズムの解明が可能な地震の一つである。特に、短周期から長周期までの広帯域に対応した強震動生成域の推定および強震動の発生メカニズムの把握は、将来の強震動予測のためにも重要である。本研究では、本地震の広帯域の強震動波形を用いた岩手宮城内陸地震の強震動生成域モデルの構築を目的としている。
2.これまでの強震動生成域震源モデル
筆者らは、2008年と2013年に経験的グリーン関数法を用いて、フォワードモデリングにより強震動生成域の推定を行ってきた。
2008年の強震動生成域震源モデル1)は、遠地実体波を用いて推定された波形インバージョン結果を参考として、震源付近の観測点における本震観測記録の再現を主眼としてフォワードシミュレーションを実施されている。この解析では、強震動生成域が震源よりも南側だけでなく北側にも必要であることが示されている。しかしながら、解析で用いられている断層面の幾何学的位置関係に関しては、精度が十分でないという問題があった。
2013年の強震動生成域モデル2)は、地震直後に行われた高密度な余震観測記録により推定された精度の高い余震分布を利用して、正確な断層の幾何学位置を決めて解析を実施されている。特に、IWTH25(一関西)の上下動成分に注目し、経験的グリーン関数法と理論グリーン関数を用いて、強震動生成域の再決定を実施している。しかしながら、震源極近傍の記録はIWTH25(一関西)観測点しか利用されておらず、必ずしも一般性のあるモデルになっていない可能性があった。
3.広帯域の強震動波形を再現する強震動生成域の構築
本研究では、IWTH25(一関西)観測点のみならず、震源近傍の地震観測点を利用して、
強震動生成域の推定を試みる。特に、震源極近傍の記録として荒砥沢ダムがありこの記録が利用できれば、本地震の震源メカニズムの解明に繋がると考えられる。特に、荒砥沢ダムの本震波形は、比較的大きな強震動が観測されていることから、ダムの近くに強震動生成域が存在する可能性があるため確認が必要である。
荒砥沢ダムの本震記録は、断層モデルの地表境界付近に存在しており、Near-field-termの影響を受けている可能性がある。したがって、経験的グリーン関数法を利用する場合、本震波形を再現するためには、経験的グリーン関数となる要素地震にも同様なNear-field-termを含んだものが必要と考えられる。もし、そのような余震がない場合は、低周波側は理論波形、高周波側は要素地震を利用したハイブリッド法による解析が必要となる。現在、このダムにおける余震記録は入手できていないが、入手可能であれば経験的グリーン関数法による解析を実施する予定である。本発表では、理論手法により震源モデルを構築して本震の再現を試みたので報告する。