日本地球惑星科学連合2014年大会

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セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS24_1PO1] 地震活動

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)

18:15 〜 19:30

[SSS24-P07] 紀伊半島南方沖の南海トラフ軸周辺における微小地震活動について

*山崎 明1 (1.気象研究所)

キーワード:海底地震観測, 東南海地震, 南海地震, 南海トラフ, 微小地震活動, フィリピン海プレート

紀伊半島南方沖の南海トラフ周辺海域で実施された海底地震観測はこれまでほとんどが海溝軸より陸側で行われており,海溝軸から南方にかけての地震活動についてはあまりよくわかっていなかった.気象研究所では2005年から2008年にかけて気象庁地震火山部と共同で紀伊半島南方沖の南海トラフ軸周辺とその南方海域で海底地震観測を実施した.観測は自己浮上式海底地震計を10台程度使用し,観測期間が約3ヵ月の観測を計4回行った.観測の結果,南海トラフ軸周辺では微小地震活動がかなり活発であることが明らかとなった.これらの微小地震は気象庁一元化震源のカタログには記載がなく,海底地震観測を実施することによって見出された地震活動であるといえる.
 紀伊半島南方沖の南海トラフ軸周辺で発生している微小地震活動の特徴として次のようなことが言える.まず微小地震の震源の深さについてはほとんどの地震が10km~25kmに分布している.同海域の気象庁一元化震源では深さはおおむね30km~40kmに分布しているが,海底地震観測の実施により実際の震源は一元化震源より20km程度浅いことが明らかとなった.震源の深さ分布には比較的はっきりした下限の面が存在し,その面より下部ではほとんど地震は発生していない.全般的にみて微小地震活動の震源分布はトラフ軸を挟んでトラフ軸より海側では南傾斜,陸側では北傾斜で分布する傾向が認められる.微小地震の面的な分布は一様ではなくかなり偏った分布をしており,ところどころに地震クラスターや線状の地震配列を見出すことができる.また微小地震のほとんど発生していない直径が20km~30kmのサイズの空白域が数箇所存在し,フィリピン海プレート内に地震活動のセグメント構造が形成されているように見える.
 南海トラフに限らずトラフ軸沿いの地震活動はプレートの屈曲やプレート間の固着状態の変化による沈み込み帯の力学的状態の変化の影響を受けている可能性がある.例えば,プレート境界型巨大地震の発生に伴ってアウターライズで発生する地震のメカニズムが圧縮場から張力場のメカニズムに変化することが指摘されている.このように南海トラフ軸沿いの微小地震活動の時間的変化は沈み込み帯の固着域の何らかの状態変化を反映している可能性があり,今後の活動の推移が注目される.