日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS24_1PO1] 地震活動

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)

18:15 〜 19:30

[SSS24-P09] ニュージーランド北島沖合ヒクランギ沈み込み帯における海底地震観測

*蓜島 大資1望月 公廣1塩原 肇1山田 知朗1篠原 雅尚1HENRYS Stuart2FRY Bill2BANNISTER Stephen2 (1.東京大学地震研究所、2.GNS Science)

キーワード:地震活動, ヒクランギ, 海底地震計

ニュージーランド北島沖合のヒクランギ沈み込み帯では、太平洋プレート上に形成された厚さ12 km程度の地殻を持つヒクランギ海台がオーストラリアプレート下に沈み込んでいる。プレート境界の沈み込みが非常に浅いという特徴があり、このため地震波反射断面上で、プレート境界の構造が高解像度で詳細に見ることができる[Bell et all. 2010など]。近年ニュージーランド北島ではGPS観測網が整備され、沈み込み帯に沿ったプレート間固着強度分布が求められている。沈み込み帯北部ではプレート間の固着域が狭く、固着域の上限は海溝軸近くまで延びており、その下限は10-15kmと浅い。固着域のほとんどが海底下となるが、これまで海域での地震観測は行われておらず、地震活動や震源分布の詳細はよくわかっていない。固着域の下限付近ではスロースリップイベントが観測されており、他の沈み込み帯と比較して非常に浅いところで起こっていることが特徴的である。
 このような海域下の定常地震活動やスロースリップイベントに伴う低周波イベントの調査のため、2012年4月から約1年間にわたりGisborne沖にてこの海域で初めての海底地震観測を実施した。設置された海底地震計は長周期地震計2台、1Hz地震計2台の計4台である。長周期地震計のうち1台の記録がレコーダーの不具合により断続的となってしまってはいるが、それ以外の3台では良好なデータが得られた。観測期間中の2012年9~11月には、本観測網の北方で群発地震活動が発生した。また、観測期間終盤の2013年2月中旬以降、観測網南方のHawke Bay周辺域で、これまでにない大きな規模のスロースリップが発生した。本データの解析では、まず得られたデータに対しSTA/LTAアルゴリズムを適用し、地震活動の検知を行った。検知結果を見ると、北方の群発地震活動や南方のスロースリップイベントに対応して、海域での地震活動が活発化しているようである。本研究では海底地震計4台に陸上の観測点を加えこれらのイベントの震源決定を試みた。海域で発生している地震については海底地震計のほうがS/N比が良く、陸の観測網だけではとらえられなかったイベントを多く捉えることができた。