日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS24_1PM1] 地震活動

2014年5月1日(木) 14:15 〜 16:00 315 (3F)

コンビーナ:*伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)、座長:伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)

15:45 〜 16:00

[SSS24-P10_PG] グリーンランド氷床ダイナミクスと氷河地震活動

ポスター講演3分口頭発表枠

*金尾 政紀1坪井 誠司2豊国 源知3姫野 哲人4東野 陽子2 (1.国立極地研究所、2.海洋研究開発機構、3.東北大学、4.成蹊大学)

キーワード:グリーンランド, 温暖化, 氷河地震, 広帯域地震計, モニタリング

近年グリーンランド氷床は、衛星観測データから氷体積が顕著な減少傾向にあり、かつ減少速度が加速している。グリーンランド氷床、特にその縁辺部での流動・崩壊・流出に伴う振動現象である、「(氷河地震, Glacial Earthquake)」が21世紀に入り顕著に観測されている。このような、氷床内あるいは氷床底部で起きていると考えている氷河地震の発生メカニズムと頻度は、氷河流動および近年の気候変動との関連性が指摘され、これらを解明することはグリーンランド氷床の変動メカニズムと温暖化増幅作用を知る上で重要である。グリーンランド氷床に広帯域地震計を設置して氷床及びその縁辺部で発生する氷河地震の頻度を観測し、氷床流動と氷河地震の関連から氷河地震の発生メカニズムを解明する。氷河地震の発生頻度は、21 世紀の最初の5 年間で倍になっており、季節変動が見られることから、その活動は氷河の下を流れる水路の変動を反映しており、最近の気候変動による氷床の後退の速度変化が原因となっていることを示唆する。本研究では、グリーンランド氷河に設置した広帯域地震計によって、氷河地震の発生機構とその活動を解析することにより、地球温暖化による氷床後退と氷河地震発生との間の関連性を明らかにする。ETASモデルを用いた統計解析からは、2005年以降の氷河地震の分布は、グリーンランドの北西の海岸で増加している様子が見て取れる。このようにグリーンランド氷床の地震活動と発生過程から、地球温暖化の影響を評価する研究計画は独創的であり、グリーンランド氷床の気候変動に対する応答メカニズムの解明と将来予測について、新しいデータセットと学際的視点をもたらすことが期待される。