18:15 〜 19:30
[SSS26-P07] 稠密地震観測に基づく近畿地方北部の地震波速度構造
キーワード:丹波山地, トモグラフィー, 微小地震, 地殻流体, 稠密観測, 満点計画
近畿地方北部、特に大阪府北部から京都府中部(以下、丹波地域)では定常的に微小地震活動が活発である。この地域には、第四紀の火山は存在しておらず、これらの地震活動は近年発生した内陸大地震の余震でもない。震源は特定の活断層に沿うのではなく、広範囲にわたり二次元的に分布しているなど特異な特徴を呈している。この地域で微小地震が定常的に発生する原因はまだよくわかっておらず、その解明には詳細な地殻構造を把握する必要がある。
丹波地域では、2008年11月以降83点のオフライン臨時観測点を設置して稠密地震観測が行われている。丹波地域における平均観測点間隔は約5kmで、従来の約20km間隔に比べると稠密である。本研究では、稠密観測点と周囲の定常観測点75点と濃尾合同地震観測点5点で得られたデータを用い、従来よりも高解像度の3次元地震波速度構造を推定した。トモグラフィーにはRawlinson et al., (2006) によるFMTOMOを用い、グリッド間隔や使用データ数等を変化させて解析を行った。
これまで近畿地方北部で行われた地震波速度構造研究では、長期にわたる定常観測データを用いても、グリッド間隔は水平方向0.2°が限界であった。一方、本研究では1年分のデータであってもグリッド間隔0.1°以下の十分な解像度が得られることがわかり、下記のような様々な特徴が確認できた。P波速度構造には、おおむね丹波地域の微小地震が活発な領域に重なるように低速度異常が見られた。S波速度構造には、琵琶湖西岸から南西へと帯状に低速度異常が広がり、浅部では一部に高速度異常が顕著に見られる。また、琵琶湖西岸地域の深さ3km以浅には、帯状に広がる高Vp/Vsかつ低S波速度域が存在する。丹波地域においては、これまで反射波および散乱波解析、電気比抵抗構造研究により、地殻内の流体の存在が示唆されている。流体の局所的な分布が地震波速度構造や地震活動にも影響を与えている可能性が考えられる。
丹波地域では、2008年11月以降83点のオフライン臨時観測点を設置して稠密地震観測が行われている。丹波地域における平均観測点間隔は約5kmで、従来の約20km間隔に比べると稠密である。本研究では、稠密観測点と周囲の定常観測点75点と濃尾合同地震観測点5点で得られたデータを用い、従来よりも高解像度の3次元地震波速度構造を推定した。トモグラフィーにはRawlinson et al., (2006) によるFMTOMOを用い、グリッド間隔や使用データ数等を変化させて解析を行った。
これまで近畿地方北部で行われた地震波速度構造研究では、長期にわたる定常観測データを用いても、グリッド間隔は水平方向0.2°が限界であった。一方、本研究では1年分のデータであってもグリッド間隔0.1°以下の十分な解像度が得られることがわかり、下記のような様々な特徴が確認できた。P波速度構造には、おおむね丹波地域の微小地震が活発な領域に重なるように低速度異常が見られた。S波速度構造には、琵琶湖西岸から南西へと帯状に低速度異常が広がり、浅部では一部に高速度異常が顕著に見られる。また、琵琶湖西岸地域の深さ3km以浅には、帯状に広がる高Vp/Vsかつ低S波速度域が存在する。丹波地域においては、これまで反射波および散乱波解析、電気比抵抗構造研究により、地殻内の流体の存在が示唆されている。流体の局所的な分布が地震波速度構造や地震活動にも影響を与えている可能性が考えられる。