日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS27_29PO1] 地震波伝播:理論と応用

2014年4月29日(火) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*齊藤 竜彦(独立行政法人 防災科学技術研究所)、中原 恒(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻固体地球物理学講座)、松島 潤(東京大学大学院)、西田 究(東京大学地震研究所)、白石 和也(株式会社地球科学総合研究所)

18:15 〜 19:30

[SSS27-P03] 堆積盆地内を伝播する長周期地震動の発達と消失

*武村 俊介1吉本 和生1 (1.横浜市立大学)

キーワード:長周期地震動, 表面波, 関東平野, 盆地構造, 地震動シミュレーション

観測波形に見られる特徴
2011年3月12日に長野・新潟の県境付近で発生した地震について関東平野で観測された強震記録を調べてみると、卓越周期5秒の孤立的な大振幅の表面波が見られた。この孤立的な大振幅の表面波は、群馬県南部の盆地端で生成され、群馬・埼玉県境の堆積層の厚い(> 3 km)地域にそって発達しながら伝播してきたLove波であることがわかった。Love波の振幅は、盆地構造が急変する埼玉・茨城県境付近で突如弱まる。
厚い堆積層内におけるLove波の発達過程を明らかにするため、現実的な盆地構造モデルを用いた差分法による地震動シミュレーションを行った。

3次元差分法による地震動シミュレーション
盆地端で生成された表面波に着目するため、半無限均質媒質内にJIVSMによる関東平野の盆地構造を入れ込んだモデルでシミュレーションを行った。JIVSMでは関東平野の堆積層をVs = 0.5, 0.9, 1.5 km/sの3層でモデル化されおり、関東平野北部では堆積層の厚さが3.5 kmを超える大規模な盆地構造が発達している。関東平野から見て北西に45°の方向から、卓越周波数0.2 Hzの平面SH波を入射させ、盆地端で励起した表面波の伝播・発達の様子を解析した。
現実的な盆地構造を含んだ地震動シミュレーションにより、観測されたLove波の発達、伝播速度および極性を概ね再現することができた。シミュレーション結果と仮定した構造モデルを比較すると、Love波の発達は堆積層の厚さが伝播方向に増加していることが原因であることが示唆された。また、深部(> 3 km)地震基盤構造を大きく変化させてシミュレーションを行っても計算波形に大きな変化が現れないことから、2 km以浅の浅部低速度層によって表面波の振幅が大きく増幅していることを明らかにした。

謝辞
防災科学技術研究所のK-NET/KiK-netおよび首都圏強震動総合ネットワークSK-netの波形記録を使用させていただきました。