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[SSS30-15] 巨大分岐断層深部‐浅部における摩擦発熱レベル:炭質物のラマン分光からの推定
キーワード:化石巨大分岐断層, 加熱実験
現在のプレート境界断層および巨大分岐断層において,どのような断層弱化機構(thermal pressurization, melt lubrication等)が機能しうるかを理解するためには,化石巨大分岐断層の深部から浅部にいたる摩擦発熱レベルの評価が極めて重要である.そこで,本研究では,海底下 2.5-5.5 kmで形成された化石巨大分岐断層(四国南西部四万十帯久礼アウトオブシーケンススラスト)と海底下1-4 kmで形成された大規模逆断層(房総半島江見層群)を対象とし,光学顕微鏡による微小変形構造観察に加え,断層に含まれる炭質物のラマン分光分析を実施した.炭質物の分子構造変化は,熱に対して不可逆的に変化するため,温度履歴を敏感に反映するプロキシとなることが期待される.また,温度による炭質物のラマンスペクトルの変化を実験的に評価するため,これらの断層近傍の母岩から採取した炭質物における嫌気環境下における加熱実験を実施した(昇温速度20 K/min).その結果,両断層に含まれる炭質物のラマンスペクトルは,400~600℃の加熱実験で得られたスペクトルに類似していることが確認された.これは,両断層がそのような高温を履歴したことを意味するであろう.但し,滑りに伴う剪断歪は炭質物の分子構造変化に影響を与えうることが予想されるため,加熱実験と併せて剪断実験の実施が不可欠であろう.