日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS30_29PO1] 海溝型巨大地震の新しい描像

2014年4月29日(火) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*金川 久一(千葉大学大学院理学研究科)、古村 孝志(東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター)、小平 秀一(海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域)、宍倉 正展(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)

18:15 〜 19:30

[SSS30-P20] 土佐湾湾奥部蟹ヶ池の堆積物中に見られる過去6000年間の津波履歴

*松岡 裕美1 (1.高知大学理学部)

キーワード:南海トラフ, 津波堆積物

過去の南海トラフ地震の履歴を明らかにするために、土佐湾の湾奥に位置する高知県土佐市の蟹ヶ池において津波堆積物の研究を行ってきた。2006年から2011年にかけて34本のバイブロコア試料を採取し、堆積物の対比を行うとともに、約150試料について放射性炭素年代測定を行った。その結果、過去2000年間に6回の津波記録が明らかになっている。このうち4回は歴史上の南海地震に対比することができ、上位から西暦1854年安政地震、1707年宝永地震、1361年正平もしくは1099年康和地震、684年天武地震、歴史記録よりも古いイベントは、AD300~600年、約2000年前の紀元前後のものである。この中で、特に約2000年前のイベントは下位の堆積物を大きく削り込み、厚く粗粒な津波堆積物を堆積させており、大規模であったと考えられることがこれまでに分かっている。
さらに古い過去数千年の履歴を明らかにするために、2012年から2013年にかけて12本のより深い深度まで達する試料を採取し、堆積物の対比を行うとともに、約60試料について放射性炭素年代測定を行った。その結果約2000年前のイベントよりも下位である約2500年前~約6000年前の3500年間に、少なくとも11回のイベントがあることが明らかになった。これら11回のイベントは300年程度の周期をもって規則的に大規模な削剥もしくは堆積間隙を伴わず堆積しており、この間比較的安定した堆積環境が継続していたことを示している。
蟹ヶ池の湖底堆積物から、過去6000年間の津波履歴を明らかにした。その結果、当然のことながら、過去6000年間にわたって規則的に津波が襲来していることが分かった。さらに約2000年前のイベントは、過去6000年間では唯一最大のイベントであると言える。このイベントが具体的にどのような津波で、どのような地震によって引き起こされたのかは明らかではないが、南海トラフ沿いの他の湖沼においてもこの年代で大規模な津波痕跡がいくつも見つかっており、今後その具体像を探ってゆきたい。