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[SSS31-08] 横ずれ断層に伴う上部地盤のせん断帯発生の数値シミュレーション
キーワード:横ずれ断層, せん断帯, リーデルせん断, フラワー構造, 数値解析
横ずれ断層発生時には,断層上部の地盤内部で深部から地表に向かって枝分れしたフラワー構造(花弁状構造)や地表面でリーデルせん断(雁行状せん断)構造などが付随発生することが知られている.上田1)は,横ずれ断層模型実験を実施し,X線CTスキャンを用いて地盤内部でのせん断帯の発達過程を調べるとともに,澤田・上田2)は,構成式にモール・クーロン破壊規準に基づく弾完全塑性体を用いて幾何学的非線形性を考慮した大変形解析を実施し,リーデルせん断等の形成過程をシミュレートしている.本研究では,澤田・上田2)の研究を参考に,土骨格の構成式にSYSカムクレイモデル3)を登載した水~土骨格連成有限変形解析コードGEOASIA4)を用いて,横ずれ断層に伴う上部地盤のせん断帯発生過程を調べた.本解析コードは速度型の運動方程式を忠実に時間積分して運動を求める動的問題にも対応可能なため,せん断帯発生に伴う波動生成や波動伝播も再現可能である5),6).使用した構成式は広範な土材料を同じ理論的枠組で記述する弾塑性構成式である.以下では,水と連成させない一相系材料とした場合の計算事例を示す. はじめに,断層の走向方向(y方向)に1有限要素を配置した3次元メッシュを用いて実施した(図1).中央下端の3要素を断層部分とみなし右横ずれ断層を想定した.境界条件として,y方向の向かい合う垂直な面(x-z面)のうち,断層直上部分には周期境界を,それ以外には一様なy方向の強制変位(速度10-6m/s)を,断層部分を挟んで左右に逆向きに与えるとともに,x-z面およびy-z面は摩擦なしの条件とした.この結果,せん断帯は地盤下端の断層部分から複数発生し,ずれの増大に伴い,上部に向かう上に凸な対数螺旋形状(フラワー構造)を示した.このフラワー構造の発生には土要素の塑性膨張挙動が必要であった.次に,y方向に40要素を配置しx-z面に周期境界を設定した3次元メッシュを用いて,せん断帯発生の過程と地盤の不均質性(初期不整)の有無の影響を調べた.ここでは下端節点において,断層部分を挟んで一様なy方向の強制変位(速度10-6m/s)を逆向きに与えるとともに,下端の断層部分の土要素について材料定数を僅かに変更して初期不整を設定した.この結果,初期不整がある場合は,地盤内部でフラワー構造が複数発生後,地表面まで到達し,雁行状のリーデルせん断構造が現れた (図2).リーデルせん断部はその周辺よりも隆起を示した.なお,材料定数の違いに応じてリーデルせん断と走向方向のなす角が変化した.(「内部摩擦角」φ’が小さい場合このなす角は小さくなった.図は省略.)また,材料によってはフラワー構造ではなく,内部に一つの平板状のせん断帯のみが形成され,波動生成が顕著に見られる場合もあった.1) 上田圭一 (2003): 横ずれ断層系の発達過程ならびに変位地形の形成過程,電力中央研究所 研究報告:U030212) 澤田昌孝,上田圭一 (2009):横ずれ断層の進展に伴う地盤の破壊領域評価のための数値シミュレーション,電力中央研究所研究報告:N080283) Noda, T., Asaoka, A. and Nakano, M. (2008): Soil-water coupled finite deformation analysis based on a rate-type equation of motion incorporating the SYS Cam-clay model, Soils and Foundations, 48(6), 771-790.4) Asaoka, A., Noda, T., Yamada, E., Kaneda, K. and Nakano, M. (2002): An elasto-plastic description of two distinct volume change mechanisms of soils, Soils and Foundations, 42(5), 47-57.5) Noda, T., Xu, B. and Asaoka, A. (2013): Acceleration generation due to strain localization of saturated clay specimen based on dynamic soil-water coupled finite deformation analysis, Soils and Foundations, 53(5), 653-670.6) 浅岡顕,山田正太郎,野田利弘 (2013): 地表面載荷による地盤の破壊現象と破壊に伴う振動の発生に関する数値解析, 日本地球惑星科学連合大会2013年大会.