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[SSS31-13] 内陸逆断層地震震源域の地震前の応力場の計算法についての考察
キーワード:内陸地震, 応力
逆断層地震を駆動する応力システムを図1aに示す。 これは領域の協会に加わる応力系,従って領域解法での境界条件と考えることも出来る。ここでσZは静岩圧σV (=ρgz)と仮定することもできる。これらから静岩圧を引き去ったものをあらためて図1aの応力σX,σY,σZとする。その場合にσ_Zはゼロになるが,実際には造構応力のz成分もあるはずなので若干は残り,負になる可能性も有る。さて,図1で示すこの応力システムは、2つのシステム(図1b)のようにBとCに分解することができる。ただし σXとσYの深さ分布などはよくわかっていない。もしσXだけを加えて他の成分はゼロとするシステムAでσXが深さに対し一様であると仮定すると、断層面上の剪断応力と垂直応力は,深さによらず,ほとんど均一になる。この断層垂直応力に静岩圧σV (=ρgz)が加えて,静摩擦係数、動摩擦係数をそれぞれ乗じると,断層強度(ピークのストレス)と動的摩擦応力が推定できるのだが,自由表面で大きな応力降下,Strength Excessは地表で最小,深さと共に増加することになってしまう。すると,地震破壊は必ず地表から開始されることになる。もちろんこのことは必ずしも成立しないので誤った結論でありσXは深さよらず一定という仮定が正しくないことになる。もしσXが深さとともに増加するならば、上記の誤りは避けることができる。 この深さ依存性は、弾性定数が深さと共に増加すると仮定し,境界に変位一定の境界条件を課すと生じることは明らかである。日本の内陸については, ストレス・フィールドは、主にプレート運動に起因しているはずで,境界条件としては変位条件が適当であると思われる(図1cのA')。ここでσ以外の応力成分はゼロである。上記の変位境界条件を課して(A')静的弾性方程式を解き、結果として生じた境界面でのストレス構成要素を新たな境界条件として(今度は変位条件で無く応力条件として)課して(図1cのA)静的弾性方程式を解くと,先の問題(A’)の解と同じになる。実際に計算する場合にAで与える応力のみならずBで与える応力も既知ではない。しかしBのシステムが断層に及ぼす影響は非常に小さいと予想される。もし構造が一様ならば,Bが作る断層面上の起震応力は,完全にゼロになるからである。構造が不均質の場合には完全にはゼロで無いが,実際に計算してみるとAの作る応力のたかだか数%程度であることがわかった。従ってBの影響は無視してよい。結論として,図1aの逆断層地震の起震応力を計算する際に,A’の境界条件で計算してよさそうであることがわかった。