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[SSS33-11] 合成開口レーダーで捉えた2009年Cinchona地震(Mw6.1, コスタリカ)に伴う地殻変動と断層モデリング
キーワード:InSAR, 地震時地殻変動, 断層モデル, コスタリカ
2009年1月8日に中米コスタリカでMw6.1の浅い地震が発生した. Cinchona地震と呼ばれるこの地震は多数の地すべりを引き起こし, 20名以上の死者を出す大きな被害となった. 付近にはNNW-SSE走向のAngel-Vara Blanca断層があり, それが震源断層だと推定された(Montero et al., 2009). 地震発生の4日後(2009年1月12日)には震源から6km西に位置するPoas火山が1年ぶりに噴火した(VEI 1). この火山は2006年に10年ぶりの噴火をして以来活動的な状態が続いていた. 本研究では地震と火山の関係性を調べる第一歩として, ALOS/PALSARのデータを用いて地震時地殻変動を検出し, InSARデータを説明する断層モデルを作成した. 本研究ではALOS/PALSAR の北行軌道(path162, frame190)と南行軌道(path465, frame3410)のデータを用いた. 地形効果の補正にASTER GDEMの数値標高モデルを, SARデータの解析にはGamma Remote Sensingのソフトを用いた. 干渉処理においては大気ノイズの除去を行った. 断層要素のグリーン関数の計算にはMeade(2007)で公開されている半無限均質弾性体を仮定したtriangular dislocation elementsによる変位の解析解のスクリプトを利用した. InSAR解析の結果, 北行軌道で最大20cm, 南行軌道で最大22cmの地震時地殻変動によるLOS(Line of Sight)変位が認められた. 断層モデルをトライアンドエラーで探したところ, strike/dipが133/65, 中央でのrakeが-163の断層で変位をうまく説明できた. これはAngel-Vala Blanca断層とは違う断層パラメーターであり, 未知断層が震源となったと考えられる. また, 断層運動によってPoas火山の直下の圧力が増加した. この圧力変化が噴火にどう関連するか, さらなる議論が必要である.