日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS33_30AM2] 地殻変動

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 315 (3F)

コンビーナ:*村瀬 雅之(日本大学文理学部地球システム科学科)、太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、座長:村瀬 雅之(日本大学文理学部地球システム科学科)、伊藤 武男(名古屋大学大学院環境学研究科附属 地震火山研究センター)

11:45 〜 12:00

[SSS33-11] 合成開口レーダーで捉えた2009年Cinchona地震(Mw6.1, コスタリカ)に伴う地殻変動と断層モデリング

*梅村 宗太郎1古屋 正人1 (1.北海道大学大学院理学院自然史科学専攻)

キーワード:InSAR, 地震時地殻変動, 断層モデル, コスタリカ

2009年1月8日に中米コスタリカでMw6.1の浅い地震が発生した. Cinchona地震と呼ばれるこの地震は多数の地すべりを引き起こし, 20名以上の死者を出す大きな被害となった. 付近にはNNW-SSE走向のAngel-Vara Blanca断層があり, それが震源断層だと推定された(Montero et al., 2009). 地震発生の4日後(2009年1月12日)には震源から6km西に位置するPoas火山が1年ぶりに噴火した(VEI 1). この火山は2006年に10年ぶりの噴火をして以来活動的な状態が続いていた. 本研究では地震と火山の関係性を調べる第一歩として, ALOS/PALSARのデータを用いて地震時地殻変動を検出し, InSARデータを説明する断層モデルを作成した. 本研究ではALOS/PALSAR の北行軌道(path162, frame190)と南行軌道(path465, frame3410)のデータを用いた. 地形効果の補正にASTER GDEMの数値標高モデルを, SARデータの解析にはGamma Remote Sensingのソフトを用いた. 干渉処理においては大気ノイズの除去を行った. 断層要素のグリーン関数の計算にはMeade(2007)で公開されている半無限均質弾性体を仮定したtriangular dislocation elementsによる変位の解析解のスクリプトを利用した. InSAR解析の結果, 北行軌道で最大20cm, 南行軌道で最大22cmの地震時地殻変動によるLOS(Line of Sight)変位が認められた. 断層モデルをトライアンドエラーで探したところ, strike/dipが133/65, 中央でのrakeが-163の断層で変位をうまく説明できた. これはAngel-Vala Blanca断層とは違う断層パラメーターであり, 未知断層が震源となったと考えられる. また, 断層運動によってPoas火山の直下の圧力が増加した. この圧力変化が噴火にどう関連するか, さらなる議論が必要である.